内容説明
サンフランシスコ郊外の自宅と、テキサスやシアトルの撮影現場を行き来するモーテル暮しの日々に書きつけられた詩と散文と回想。本書は、いまアメリカで最も注目されている劇作家であり、映画俳優さらに監督としても活躍するサム・シェパードの自伝的エッセイ集である。全編に漂う砂漠と荒野の気配は、彼のアウトロー時代の追憶と重なり、アメリカ路上文学の系譜に清新な成果をもたらした。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
23
サム・シェパードを日本語で翻訳するとはつまり、英語だと「I」で(多分)統一されている一人称をそのまま「俺」とべったり訳すのではなく、この本で試みられているように時に「ぼく」という(一見すると似合わない?)一人称で訳すことなのかもしれない。むろん批判的に捉えたいわけではない。むしろこうして繊細に訳し分けられることによってサム・シェパードという男の内省とダンディズム(?)が膨らみを帯びてくると思う。荒っぽいようで繊細な筆致は幼年期や女性たちへの憧憬を叙情的に綴り、巧みに(凡庸な賛辞になるが)「酔わせる」1冊だ2022/08/13
めぐ
14
アメリカ文学は普段あまり読まないのです。アメリカ人ってメンタリティも文化も自分と違いすぎるんじゃないかという先入観があるのです。サム・シェパードはパティ・スミスの彼氏だったという理由で知り、この本もずっと前に買ったのですが、とても好きな本、今後も何度も読み返したい本になりました。からからに乾いてギンギンに太陽が照り付ける世界には全く縁がないのだけど、強烈な色彩と濃厚な影、そして何よりもでっかい空漠、行ったことのないアメリカの景色と倦怠を鮮やかに感じました。ちょっとだけアメリカに行きたくなります。2018/01/20
Yasuyuki Kobayashi
0
サムシェパードの散文、韻文入り混じった書付。2023/11/26