内容説明
日本人の島国的発想にもとづく“日本人論・日本文化論”。“西欧人論・西欧文化論”がいかに偏見と独断に満ちているかを、英語と日本語との比較を通して縦横に論じた文化論。著者が、その恐るべき語学力を駆使して展開する「言葉くらべ」による論証は、“外からの視点”で日本人を新たに検証し、従来の日本人論に再検討を迫るる“果たし状”でもある。
目次
第1章 言葉くらべの落し穴―beyond antithesis(Iこそ謙虚の美意識;youは化学;weは超越性;言葉くらべゲームは両刄の剣;レトリックの逆説;直訳はかえって曲がる;曖昧さの敵は翻訳;敬語と心の生態学;ユーモアは外国で枯れる)第2章 ライオンのプライドとメダカの学校―deep english(擬音感に富む言葉;動詞化の天才;群詞とは何か;来夢の遊惑;比喩の動物園;英語市場)
第3章 英語習得コンプレックス―to learn or not to learn(国災化する言葉使い;外国語は没我?)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mawaji
6
岸本佐知子「わからない」に出て来ていたのでアマゾン古書で買ってどれどれとユルい気持ちで読み始めたらモロに足元を掬われてしまった。本書は直接日本語で書き下ろすくらいニッポン語が堪能なガイジンによって著され、本邦の国語学の権威たちの論考をバッサバッサと斬り捨てながら展開される比較文化論でした。本書が上梓されて40年経った今でも耳が痛い内容満載ですが「他者あるいは自分の外側にある言語の『人間性』は自分の母国語のそれに劣らぬほど深いのだと信じる心」を持ち、決して愛国語主義者にならぬように気をつけたいと思いました。2024/10/14