内容説明
エスタの周囲で事件があいつぐ。弁護士タルキングホーンの怪死、デッドロック夫人の失踪…。そうしたなかでエイダとリチャードの愛はとりもどされ、エスタはジャーンディス氏のあたたかい配慮で生涯の伴侶を得る。7年ののち、エスタによって語られる〈今〉をもって、この物語は静かに終る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
196
穏やかな結末だった。 落ち着くところに、落ちついた印象だった.. リチャードとエイダ、そして荒涼館の主婦となるエスタの物語..それにしても、長い。 この時代のイギリスの風景と デッドロック家のお屋敷の漠然とした存在感が 印象的な物語だった。 2016/12/03
扉のこちら側
81
初読。2015年1132冊め。【74-4/G1000】文学全集で初読したのが小学生の時で、眉間にしわを寄せながら読んだものだけれど、大人になってこうして再読するとおもしろくて1日で一気読み。後半の展開が特におもしろくて、清い心のエスタが幸せになってくれてなにより。失恋したガッピーにも幸いあれ。振り返ってみれば何気に死者も多いし、ジャーンディス対ジャーンディス事件の訴訟終結理由も、あんまりだとは思うのだけれど。【第6回G1000チャレンジ】2015/11/15
キムチ
62
読み終えてみると無駄に長いと思えた個所が多かったが、これこそが荒涼館の魅力と言える。 社会現象にもなっていた長い裁判、肝心のリチャードもエイダも影が薄く思えた4巻。何といってもエスタの心根の優しさが煌めく。デッドロック卿の本心を見誤った夫人と死。後は大団円に向けての疾走・・ジョージ軍曹の顛末に笑みが浮かぶ。ジャーンディス氏が抱くウッドコート氏とエスタへの神経の使いように安堵した。ディケンズ描くこの時代の情景は何れの作品でも似通っている・・が、この作品の持つ細かなプロット サスペンスの香り ラストへ向けての2021/02/06
ケイ
59
半月かけて4巻読了。展開が想像もつかないもつれた話が大団円を迎えて終わった。悪い者はその咎を受け、正直者は報いられる。G.オーウェルが言うところの、「負け犬」への愛に溢れるストーリー。その立役者が語り手のエスタであり、ジャーンディスさんだ。欲から訴訟に魅了されてしまう人々は、悪魔の子分の弁護士の手にかかり、訴訟の悪魔に食ついくされる。名声にとらわれる人は、良き人を遠ざけ、孤独を友とすることになる。最後に読者に与えてくれる安心感は、フランス文学からは得られないもののような気がする。2014/02/14
NAO
51
3巻後半からジェットコースター並みの怒濤の展開で進む話は最後まで目が離せない。何十年にもわたって続いた訴訟がついに終結した理由はあまりにも現実的で、笑ってしまうほどだ。ガッピーの失恋話は要らないような気もするが、このハイエナのような裁判所関係の人間たちにも少しはぎゃふんと言わせたかったというところだろうか。この作品では、ディケンズはイギリスの社会悪を「霧」と「ぬかるみ」に例え痛烈に批判したが、エスタ、エイダ、ジャーンディス氏、アランといった人々の健気さと真摯さで、風が変わり、霧が晴れていきますように。2015/10/22
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