内容説明
出版社と書店の間にあって、本の流れをつくる取次。著者はそこで、魅力ある手描きの日刊情報誌を出しつづけている。毎日毎日、彼の前を走り去り、また駆けもどる洪水のような本の群れ…。それを見つめつづけて20年。著者のやさしい眼ざしにうつった本たちは、何を語り何をうったえようとしているか。本が読者の手に渡るまでのオモシロイ話、タメになる話、コマッタ話などを軽妙なタッチでつづった“本好き”必読エッセイ。これ1冊で、本の世界が見えてくる!
目次
凍れる本たち(冬の本たち;取次ってどんなトコ?;久しぶりにシャンソンを聞く ほか)
桜が本に散る頃(会社を休んだ日;ちょっとしたキッカケで本好きに;ヤクザ屋さん、こんにちは ほか)
或る夏枯れの1日(美しい本「第一書房長谷川巳之吉」;「ザ・漱石」に驚く;私小説風「海で遊ぶ」 ほか)
秋の夜に、箔切れを聞く(モシモシ。あの本、ナニ屋さんで売ってます?;詩集の話でも…;返品された本は、どうなるのか? ほか)
「日刊まるすニュース」物語
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
49
【今年の本週間@月イチ】2018年「東京堂書店」限定復刊・サイン本。神保町に行くと必ず立ち寄る東京堂書店。そこで見つけました。1989年第一刷とあるので確かに内容はかなりレトロ。まだインターネットも携帯電話も普及していなかったのかな?著者は出版社と書店をつなぐ取次店の店員さん(当時)。そして手書きの日刊情報誌を発刊し続けた人でもあります。そんな著者が書いたミニエッセイの数々、これがなかなか面白いんです。当時ならではのエピソードもあれば、著者の薦める絵本リストなど。肩の力を抜いて楽しめました。2018/12/20
ホークス
46
元本は1985年刊。著者は書籍の取次会社に勤務。40年ほど前だから、本が知の中心にあり書店がその拠点だった。様々なエピソードが本の魅力を思い出させる。店売り(書店が買う売場)で寒い朝に電気を点けると、ズラーと並んだ背文字が一斉にこちらを見ている。凄い圧迫感だったろう。天金といって、本の小口に金箔を施す装丁があり、最初に開く人が金箔の切れる微かな音を聴ける。中でも、日刊の情報紙(手書き)を書店に配る著者の情熱には驚いた。文章も分かりやすい。業界の反響も大きく、情報の価値に気づいた人も多かっただろう。2022/08/06
あや
24
本書の刊行は1985年だという。書店と出版社の間にある取次店である鈴木書店(現在は廃業したらしい‥)にお勤めの著者による出版業界エッセイ。私が書店員だったのは90年代から2000年代序盤だったけれども、鈴木書店は知っているし発行していた、まるすニュースも勤め先で読んでいたので、とても親しみがある。85年当時はスマホもなかったので、本というものはもっと人々にとって欠かせないものであったように思う。著者がお住まいだったところも、私の住む街のわりと近くでそちらの意味でも親しみのわく本であった。2024/06/10
まっ黒大魔王
16
東京堂書店にて限定復刊、サイン入り。あまり知られていないが、書店の本は基本的に出版社→取次→書店と順を踏んで入荷される。本作は版元と書店のパイプとなる取次の人間の書いた業界回覧だ。業界人でなくても分かるように解説はちゃんとあるゆえ誰にでもおすすめ。30年前の段階では書店は余程品揃えをしくじらなければ潰れることはないと思われていたのは衝撃。今や国内に書店はせいぜい一万といったところ、今のこの現状を作者はどう見ているのか聞いてみたい気もする。2019/01/11
しょうご
11
なんとなく古本で買った一冊です。本屋さんで手にするまでには取次さんのおかげであり、裏側がのぞけておろしろかったです。2018/11/26
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