内容説明
森に消えた母の姿を求める“母なしむすこ”りゅうと、不思議な霊力をおびた“銅のくし”を懐にした“口なし娘”たみは、闇の一族、菜の花一族、夢の衆たちが住み、悪と死のつかい“放れ熊”の支配する黒森へ踏み入ろうとする…。闇の世界、山の住人、森の精霊たちが、その生滅をかけて戦い、語りかける壮大なファンタジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワッピー
9
里に下りてきた山うばから、禁忌の山「黒森」へ行くよう命じられた母なしのりゅうと口なし娘のたみは、猟犬のユージン、床屋の赤次とともに、放れ熊を滅ぼす旅に出る。1981年刊行の作品ですが、山里の民話的世界の中に、闇の一族、人さらいたち、洗濯女、人を捕える森を配置し、大団円に向けて子供たちが成長する王道的物語です。世界観にそぐわない名前やアイテムもありましたが、闇を抜けて黒森へ向かう苦しい旅を進み、死地を脱して成長するりゅうやたみを眩しく感じます。それにしても赤次やクロバアはどうなったのでしょうか?2018/11/04
けいねこ
3
20年以上ぶりの再読。ほどよく忘れていて、改めて夢中になって読んだ。民話から書き起こしたのかと思わせられる一方で、『指輪物語』や『ナルニア国物語』を連想するような場面も。それが一つの世界として構築されている。もっと取り上げられていい、読み継がれるべき作品だと思う。登場人物それぞれのその後が気になる。2018/02/18
きき
1
三十年ぶりに読み返しました。 楽しく美しく、日本の里山に根付いたファンタジー?昔話? もっとみんなに読んでほしい!2024/04/05
ささみ
0
和製ファンタジー。内容は全然違うけれど、全体、特に文章の雰囲気がゲド戦記を彷彿とさせた。山うばが味方というのが新鮮。口なしむすめと母なしむすこが主役というのも面白かった。ラストの疾走感がすごい。2010/01/03