内容説明
SF界にニューウェーブ旋風を巻きおこし、現代SFをリードしたJ・G・バラード。「私は、宇宙ものに背を向け、宇宙の果てをのぞくのを終わりにして、視線をこんどは人間の内部に向け、心のなかや神秘的な時間の問題というまったく新しい方向に出発した」と宣言する著者の自選短篇コレクション。「時間が語りかけてくる」「強制収容都市」ほかバラード自身によるメニューは、その手法を知り、その作品世界を楽しむための最良のテキストだ。序文としてバラードの文学宣言、また各作品ごとに自身の解説を付す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えふのらん
2
生活のなかで基準となっている(が、意識されないままの)概念が掘り出され、排除されていく。音は雑音として掃除機で吸い出され、資本主義と時間管理の放棄と共に時という観念そのもの去られる。基本的に概念を視覚化している作品集だけど、発想の方向は仮想現実っぽい。強制収用都市は都市区画をコピペするシムシティっぽいし、クロノポリスもシムを極限まで効率化した有様を思い出させる。負担がかかりすぎた男はバグで物理エンジンがどうかしてしまったゲームのキャラクターではないか。PCやVRがなかった時代だから逆に概念を明確にできたの2020/05/11
gu
1
バラードの作品は現実から脱出しようとする(そして挫折する)人の話が多い印象。好きなのは『時間が語りかけてくる』と『待つための根拠』。『時間~』はバラード入門って感じ。内宇宙を描くというのはつまり外界からの刺激に対する反応を創造することなのかと思ったり。2011/07/18
hiratax
0
8月の旅に持って行き、一ページも読まないまま持ち帰り、そのまま図書館で延々と貸出延長を繰り返して今回の旅へとつながった。魔都上海生まれのSF作家ということで読んでみたんだけれど、ハマる要素はなかった。SF読まず嫌いというわけではなかったのかもしれない。旅で読み終えることができずに、やっとこさ読了したのは、電気グルーヴの映画を見に行くため訪れた深夜の新宿だった。映画見終わってゴールデン街でちょっと飲んで変えるというルートはなかなか黄金っぽくて良かった。2016/01/10
ぼっぼよ(×ω×)
0
某書で紹介されていた「強制収容都市」を読みたくて通読。 SFに於いて表現されている都市は、現代都市を考える上でも示唆に富んでいるように思える。2014/01/16
アスタラビスタ
0
特に好きなもの・・・「六九型マンホール」「強制収容都市」「音をとりのける男」
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