内容説明
いそげ!死の国の叛乱のときはせまっている…。ある雨の日から始まった一郎やルミの大冒険。彼らはぶじに〈光車〉を見つけて、死の国の王に勝てるだろうか?心おどる本格ファンタジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
田氏
22
奇書として紹介されるに相応しい児童文学。ジュブナイルでありながら、そのあやふやに淀んだ質感は、幻想文学のそれでもある。子どもたちの日常のすぐ横におどろおどろしい怪異が接続するところまでは、まあ冒険小説ですよねえと受け流せるのだけれど、しかしその情景が、理屈だ因果だよりも情景そのものの要請によって描かれていて、夢と現実のあいだでもやもやしている。こんなものを「児童文学」の適正年齢に受け止めてしまったら、そりゃ成長してアニメ作家にもなるわってんで、名作『電脳コイル』の制作に少なからぬインスパイアを与えたとか。2019/12/19
Ribes triste
13
小学校以来の再読です。一郎くんとルミちゃんのいつもと変わらないはずの小学校生活が一変する。光車を探す大冒険は子ども向けとはいえ、ダークで恐ろしい世界です。でもやっぱり面白かった。ちくま文庫版では、司修さんの幻想的でどこか不気味な挿絵を見ることができ、懐かしくて嬉しくなりました。2019/05/04
inugamix
4
水と泥のにおいのする土着系和製ファンタジー。初読は小学校低学年の時。元気な子供がたくさん出てきて大冒険を繰り広げるあたりは感情移入しやすかった。日常と紙一重に異界はある、管理社会はその裡にあるものしか助けてくれない、などのメッセージを子供なりに受け取ったと思う。天沢ファンタジーを映像作品化するならこれなんじゃないかなと思っている。
四季
2
読んでいると夢の世界を思い出す。水たまりの中の世界、上下が反転した世界、訳のわからないちぐはぐな感じは、寝ている時にみる夢のようだ。恐ろしくもあるんだけど、どこか親しみがあるような思い当たる節があるような…2015/04/22
きゆやすか
1
おぼろげに記憶にあった本を再び。しかしピュアフル文庫に今は入っているとは知らなかった! ちくま(とか元版)の司さんの挿し絵がなんとも…2019/03/31