内容説明
新宿・中村屋の創立者、相馬愛蔵・黒光夫妻、木下尚江、荻原守衛、井口喜源治ら信州安曇野に結ばれた若い群像を中心に、明治から現代までの激動する社会、文化、思想をダイナミックに描く本格大河小説、5部作。第1部は、“新しい女”黒光と夫愛蔵らの溌刺とした動きを追いつつ、新文化創造の鋭気みなぎる明治30年代を活写する。著者年来の理想と情熱を傾注して成った代表作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ソングライン
10
仙台の武家の娘として生まれた良、東京で文学を学ぶも失恋から立ち直るため安曇野で養蚕を営むキリスト教徒相馬愛蔵に嫁ぎます。養蚕、山葵畑、美しい自然のなかで愛蔵は禁酒会を立ち上げ、私塾形成義塾設立に奔走します。彼の仲間には義塾の教師となる喜源治、新聞の主筆で社会運動を支援する木下尚江、そして画家を志す青年萩原守衛が集います。二人の子を設けるも安曇野の田舎暮らしに耐えられなくなった良、相馬夫妻は東京に旅立ちます。明治中期の日本を旅する物語始まりました。2024/01/10
格
4
安曇野の地で結ばれた青年達を描く群像劇。第一部では、恋に破れこの地の豪農、相馬愛蔵に嫁いだ相馬良(黒光)が東京に出て新宿中村屋を開業する迄が描かれている。明治中期~後期にかけての思想、公害、貧困等の諸問題を含む構えの大きい小説だ。知らない人物が出てくる度に検索をかけてみると意外な経歴をもって意外な人物と関わり合っていたりするのが面白い。2024/10/26
つちのこ
1
ちくま文庫版。第一部。1987.5.12読了1987/05/12