出版社内容情報
「温泉だより」「湖南の扇」「カルメン」「玄鶴山房」「河童」「浅草公園」「古千屋」「冬」「手紙」「歯車」「闇中問笑」「或阿呆の一生」他15篇を収録。
【解説: 臼井吉見 】
目次
温泉だより
海のほとり
尼提
死後
湖南の扇
年末の一日
カルメン
三つのなぜ
春の夜
点鬼簿
悠々荘
彼
彼第二
玄鶴山房
蜃気楼
河童
誘惑
浅草公園
たね子の憂鬱
古千屋
冬
手紙
三つの窓
歯車
闇中問答
夢
或阿呆の一生
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
70
小説の最後の巻になります。死を意識し始めた頃の作品だからでしょうか、全体的に追い詰められていくような印象を受けました。その不吉な色彩に苦しさすら感じました。そんな中でも『河童』のようなユニークな作品が若干とはいえ、書かれているのが救いです。2020/03/22
優希
42
全体的に暗い色彩を感じました。死を意識し始めたからでしょうか。死がテーマになっている作品が見受けられます。悲鳴すら聞こえそうでした。そんな中でも『河童』のような皮肉のきいた作品を描いているのが救いです。2023/03/21
ころこ
40
『玄鶴山房』妾が出てくるが、若い読者は毛嫌いせずに、商取引だと思えばよい。本家が買い、妾が売る。本家にとっては割安で買える。それを売り手の妾は…恐らく知っている。知っているが義理を立てている。建前通りに取引が成立してくれれば…ところが、武夫(本家)が文太郎(妾)をいじめることで場の空気が揺らぐ。建前を逆転させた本音の無意識が子供の力関係に投影されるのが鮮やかだ。妾の怒るという行為が、いつ本当に感情の爆発として発露するか、本家は冷や冷やとする。漱石の弟子と言われているが、それぞれの立場の人物の様子が陰鬱でい2023/01/27
優希
37
私小説が多い印象を受けます。死を意識し始めているからでしょうか。暗い色彩の作品が多く、芥川の不調が直に伝わってきます。そんな中で異彩を放つ『河童』が救いのように感じられました。2024/12/11
r.ramone
37
「やべえもうすぐ死ぬ」と思わせるような作品ばかり。でもどれも面白い。『河童』を愛してやまない河童忌生まれ。2021/09/29