内容説明
大学を卒業して、四国の中学に数学教師として赴任した、江戸っ子“坊っちゃん”。自らの正義感と類まれなる行動力がひき起す数々の事件を描く、痛快な青春小説。「赤シャツ」「狸」「野だいこ」に代表される世の俗物を向うにまわす、主人公の純で直情な活躍は、ユーモアあふれるその表現とあいまって、漱石の作品のなかで、今なお最も多くの読者をもっている。若い読者の理解を助けるため読みやすい活字で詳細な語注を付した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yu
7
主人公の成長を描いた一種のBildungsroman(教養小説)として読んだ。生き生きした筆致は冴えているが、マドンナについてはもっと掘り下げる余地があったのではと思ってしまった。落ちはやや駆け足で、少し物足りないがこれはこれで余韻の残る良い終わり方かもしれない。2015/04/20
チルネコ
4
吾輩~ほどではないが書き出しの一文がなんとも言いがたく絶妙で、読み進んでいると主人公<おれ>の行動一つ一つに効いているのが分かる。短い物語ながらも江戸っ子のおれが四国の田舎で教師として道を切り開こうと奮闘する様は、無鉄砲がゆえに滑稽ですらあるが魅力的すぎるほどでもある。ラストを読むと客観的には敗北であるが、おれの主観では至福を得たのであるから、本書が客観性を排除した一人称で書かれているのを考慮するとおのずと本質は見えてくるんではないでしょうか^^2009/10/22
けんた
2
昔本木雅弘の主演で見たテレビドラマの坊っちゃんでは野だが赤シャツに惚れてると泣きながら告白するシーンがあったはずなんだが、原作にはそんなとこ出てこなかったな。2015/04/19
おはぎ
1
★★★★★ 実は初漱石。無鉄砲な「坊っちゃん」が田舎で繰り広げるありがちなストーリーなのに、なぜか読んでいて引き込まれる!!山嵐、赤シャツ、野だいこ、うらなり達の個性豊かなキャラクターや、半沢直樹ばりの?仁義を尽くす坊っちゃんのまっすぐさがいい。文章のテンポも読みやすいし、今でも読み継がれる物語として納得の作品。2013/08/23
-
- 和書
- 六月の鏡 - 歌集