出版社内容情報
大戦終結から80年、この間の戦争の経緯を分析し、
「正義の戦争」が世界に何をもたらすのかを検証する。
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20世紀に世界は二度の全面戦争を経験した。主権国家が並び立つ国際秩序を確立した〈西洋〉が、外部を征服し「世界化」したそのとき、世界中を巻き込む大戦争が起こったのだ。総力戦と化した戦争は核兵器を生み、戦争は人類破滅を招きかねない「不可能」なものとなった。にも拘わらず、世界大戦終結から80年、世界はふたたび全面戦争への傾斜の上に立っている。冷戦終結が世界の平和をもたらすはずではなかったのか? なぜこうなったのかを西洋精神史を参照項に検証する。
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今、世界には再び「戦争やむなし」の気配が蔓延している。〈世界戦争〉以前のように領土的野心をもつ「帝国主義国」や、独裁者の指導する「侵略国家」が登場しているからと。その「蛮行」を許さないため、「自由な秩序」を守るために、抑止に足る軍事力を備え、戦争の準備をしなければならないと。
世界の動静が、そのように世界戦争以前の状況に戻ったのか、あるいは、〈世界戦争〉が起こったということの真の意味を忘れ、その「恐れ」を拭い去り、再びそれに備えさせることで、「現勢」を維持しようとする政治的・イデオロギー的力学があるのか、その事情を以下の考察で解き明かしてゆきたい。――――――――――――第一章より
【目次】
第1章 世界戦争とは何だったのか
第2章 戦争と西洋――〈世界戦争〉への道
第3章 「冷戦」の基本構造
第4章 核兵器とは何か
第5章 西洋の次なる「敵」と新しい「正義」
第6章 戦争とメディア
第7章 「テロとの戦争」はいかにして起きたか
第8章 「テロリスト」という非存在
第9章 戦争の「民営化」
[閑話休題]加速する時間の先に
第10章 「アフガン戦争」とは何だったのか
第11章 イラク――「ならず者国家」の市場解放
第12章 文明のための「衛生的」な戦争
第13章 核の恐怖とテロリズム
第14章 ウクライナ戦争が炙り出す〈西側〉の欺瞞
第15章 イスラエル――ガザ攻撃に見るアメリカとの相同性
第16章 ヨーロッパと反ユダヤ主義
第17章 〈世界戦争〉80年後の世界
[付論]2025年初頭、今、アメリカで何が起こっているのか?
内容説明
二〇世紀に世界は二度の全面戦争を経験した。主権国家が並び立つ国際秩序を確立した〈西洋〉が、外部を征服し「世界化」したそのとき、世界中を巻き込む大戦争が起こったのだ。総力戦と化した戦争は核兵器を生み、戦争は人類破滅を招きかねない「不可能」なものとなった。にも拘わらず、世界大戦終結から八〇年、世界はふたたび全面戦争への傾斜の上に立っている。冷戦終結が世界の平和をもたらすはずではなかったのか?なぜこうなったのかを西洋精神史を参照項に検証する。
目次
第一章 世界戦争とは何だったのか
第二章 戦争と西洋―〈世界戦争〉への道
第三章 「冷戦」の基本構造
第四章 核兵器とは何か
第五章 西洋の次なる「敵」と新しい「正義」
第六章 戦争とメディア
第七章 「テロとの戦争」はいかにして起きたか
第八章 「テロリスト」という非存在
第九章 戦争の「民営化」
第一〇章 「アフガン戦争」とは何だったのか
第一一章 イラク―「ならず者国家」の市場解放
第一二章 文明のための「衛生的」な戦争
第一三章 核の恐怖とテロリズム
第一四章 ウクライナ戦争が炙り出す〈西側〉の欺瞞
第一五章 イスラエル―ガザ攻撃に見るアメリカとの相同性
第一六章 ヨーロッパと反ユダヤ主義
第一七章 〈世界戦争〉八〇年後の世界
付論 二〇二五年初頭、今、アメリカで何が起こっているのか?
著者等紹介
西谷修[ニシタニオサム]
1950年生まれ。東京大学法学部卒業、東京都立大学フランス文学科修士課程修了。明治学院大学文学部教授、東京外国語大学大学院総合文化研究科教授、立教大学大学院文学研究科特任教授を歴任。東京外国語大学名誉教授。二〇世紀フランス文学・思想の研究をベースに、グローバルスタディーズ、戦争論、世界史論、クレオール文化などを広く論じる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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