出版社内容情報
加害の自覚とは何か――。撫順戦犯管理所やアウシュヴィッツ収容所が人々に刻んだ体験は、人が人を赦すことの意味を峻烈に問う。人間の根底に迫った哲学的考察。
内容説明
哲学者カントが訴えた“永遠平和”の眼目は、敵意が終わることにある。しかし、それは人間に可能なのか―。「撫順戦犯管理所」。中国で非道を為した日本兵たちがいた場所である。ここで中国人と日本人の間に起きた事態は、カントの理念の現実性を鮮烈なまでに突きつける。撫順を経た人々に加え、本書はアウシュヴィッツ収容所の帰還者やパレスチナ紛争の被害者の声にも耳を澄ませ、人が人を赦すことの意味を問う。人間の根底に光をあてた哲学的考察。
目次
第1章 従軍の体験と沈黙(戦中派の孤立;出征まで;実的刺突;シベリアのカント;撫順での蘇り;沈黙と羞恥;秘匿と虚無に抗って;)
第2章 自己という証拠―悪魔はいない(アウシュヴィッツのカント;悪のための悪?;根源悪;カントの良心;ドラマと真実)ヒューマニズムと非暴力
第3章 死刑を超えて(死刑の法理;カントとデリダ;更正の受け皿;再会と再統一)
第4章 拷問の果てに―謝罪とはなにか(アメリーとイスラエル;平和の祭典/憎悪の祭典;アメリーとレーヴィ;テロリストとの“対話”;謝罪の筋道;土屋芳雄の謝罪と誓い;出会い)
著者等紹介
石川求[イシカワモトム]
1958年、北海道生まれ。東北大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。東京都立大学名誉教授。博士(京都大学・文学)。専門分野はドイツ近現代哲学。著書に『カントと無限判断の世界』(法政大学出版局、第三一回和辻哲郎文化賞受賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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