出版社内容情報
丸山眞男が言う日本人の「勢い」の意識とは何か。頼山陽、阿部正弘、堀田正睦、勝海舟、木戸孝允、徳富蘇峰の天下の大勢をめぐる思想から日本近代史を読み直す。
内容説明
丸山眞男は日本人の歴史意識の古層として「つぎつぎになりゆくいきほひ」を指摘した。「なりゆく」この「勢」の思想を最初に打ち出したのが頼山陽である。主体的能動的に「勢」の変化を制御していこうとする山陽の「天下の大勢」をめぐる思想は、日本近代史をいかに動かしていったか。幕末の老中・阿部正弘と堀田正睦、勝海舟、木戸孝允、徳富蘇峰、原敬の「大勢」認識から、三国同盟の「バスに乗り遅れるな」、終戦の詔勅の「世界ノ大勢亦我ニ利アラス」まで、「天下の大勢」思想の航跡をたどる。
目次
第1章 丸山眞男の「追加」
第2章 頼山陽の「決断」
第3章 阿部正弘の「発明」
第4章 堀田正睦の「非常」
第5章 勝海舟の「憤懣」
第6章 木戸孝允の「涙」
第7章 徳富蘇峰の「将来」
第8章 原敬の「順応」
著者等紹介
濱野靖一郎[ハマノセイイチロウ]
1977年生まれ。東京都出身。法政大学大学院政治学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。専攻は日本政治思想史。現在、海陽中等教育学校教諭、法政大学ボアソナード記念現代法研究所客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はるわか
12
「なりゆく勢い」「天下の大勢」をめぐる思想は日本の近代史をいかに動かしたか。丸山眞男は日本人の歴史意識の古層として「つぎつぎになりゆくいきほひ」(無責任の体系)を指摘。頼山陽の「天下の大勢」をめぐる思想は主体的能動的に「勢」の変化を制御することを志向。「天下の大勢」論が正当化の言説に。阿部正弘、堀田正睦、勝海舟、木戸孝允、徳富蘇峰、原敬の「大勢」認識。三国同盟の「バスに乗り遅れるな」、終戦詔勅の「世界ノ大勢亦我ニ利アラズ」。2022/08/11
Go Extreme
2
バスの行く先 丸山眞男の「追加」: 「なりゆき」と「いきほひ」、そして 儒学における「大勢」 林子平と松平定信 頼山陽の「決断」: 徳川の御代のマキャヴェリ 「君主論」の誕生 阿部正弘の「発明」 堀田正睦の「非常」 勝海舟の「憤懣」: 狂瀾を既倒に廻らすこと能わず 手遅れの大政奉還 木戸孝允の「涙」 徳富蘇峰の「将来」: 民撰議院設立の建白書 議会開設と伊藤博文 原敬の「順応」: 社会主義もまた気運なり 吉野作造は説く 「平民宰相」のリアリズム 普選をめぐって2022/07/10