出版社内容情報
「北方領土」返還交渉はなぜ暗礁に乗り上げたのか? 日ロ首脳の交渉過程を検証し、どこで躓いたかを示す。日ロ交渉の現在、そして今後を考える上で必読の書!
内容説明
「北方領土」問題の解決を外交上の重要課題に掲げた第二次安倍政権。日本政府が従来、繰り返し主張してきた四島返還から、歯舞、色丹の二島返還へ大きく方針転換しても、北方四島はロシア領との主張を崩さないプーチン大統領。ロシアはなぜ、日ソ共同宣言すら公然と踏みにじるようになったのか?安倍政権はロシアとの交渉の、どこで躓いたのか?そもそも「北方領土」問題はいつ、どのように生まれたのか?綿密な取材と膨大な資料により日ロ交渉の実態を明らかにした、迫真のドキュメント!
目次
第1章 四島から二島へ
第2章 頓挫
第3章 新しいアプローチの挫折
第4章 葬られた東京宣言
第5章 神話の始まり
終章 平和条約交渉の今後を考える
著者等紹介
駒木明義[コマキアキヨシ]
1966年、東京都出身。1990年、東京大学教養学部基礎科学科を卒業し、朝日新聞社入社。和歌山支局、長野支局、政治部、国際報道部などで勤務。1994‐95年モスクワに、2001‐02年、イタリア・ボローニャに研修派遣。2005‐08年モスクワ支局員、2013‐17年モスクワ支局長。帰国後は論説委員として国際分野の社説を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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山口透析鉄
22
図書館本。やはりアベとプーチンではてんで勝負にならないです。何しろフリガナ付き答弁書を読む能力しかない人物と、生放送のTV番組で4時間、視聴者とちゃんとやり合う人物では比較になりませんので。 国家間のやり取りもエゴ剥き出し、も一緒のようです。そもそもいわゆる「北方領土」の定義も2島か4島か、日本側も途中で変えていたようで、国後・択捉は入れていなかったのを北方領土という言葉を考案して入れたっぽいです。 ロシア側の対応も時期によって変化があり、途中から強硬になった部分もあります。やはり日米安保条約等が影を↓↓2025/01/25
わび
6
四島か、二島か、ゼロ島か。本書は安倍政権で密やかに行われた二島返還への方針転換とロシアの姿勢を両国の報道から丁寧に描き出す。ある種誠実な位に態度にブレがないロシア側と比べると、期待を繋ぎとめるために小細工を重ねる日本側の姿は哀れにも思えてくる。安倍外交の特質としてテタテの信頼関係を梃子にしたトップダウンの手法が指摘されるが、この限界と危うさが最も出たのが対ロ外交だったのではないか。安倍首相が力を込めた「新しいアプローチ」も「真摯な決意」もついぞプーチンに共有されなかった事実がこの交渉を最もよく表している。2024/07/06
竹の花
5
政治記者として20年以上日露交渉を取材してきた著者による第2次安倍政権における日露交渉の総括.失敗に至る過程を見事にまとめていて読み応えがある.ロシア側との認識の乖離がよくわかるがどうしてああ前のめりだったのやら…2004〜2005年にかけてのプーチンの「豹変」や1956年の日ソ交渉についても掘り下げていて勉強になった.日本側のみならずプーチンやそれ以前のロシア側のスタンス(の変化)を追っているありがたい本で,今後たびたび参照することになると思う2021/09/04
ryo
0
戦後75年経った現在でも残る北方領土問題。広大な領土を持ち、様々な国家と国境を接するロシアという国家の底力というか、強かさが垣間見れた。外交交渉とは本当に難しい...2020/09/10
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