出版社内容情報
ヒューム、諭吉、ナイトという三つの偉大な知性が、近代の黎明期に見出した共通の主題「保守的自由主義」を抽出。保守思想と自由主義の相克を超える道筋をさぐる。
内容説明
保守の本懐は自由主義にあり!デヴィッド・ヒューム、福澤諭吉、フランク・ナイトの思想をたどり、「保守主義×自由主義=保守的自由主義」の可能性を問う。
目次
はじめに 保守思想とは?保守的自由主義とは?
第1部 健全な懐疑主義(ヒュームと健全な懐疑主義;福澤諭吉と健全な懐疑主義;フランク・ナイトと健全な懐疑主義)
第2部 法の支配(ヒュームと権力平均としての法の支配の観念;福澤諭吉における法の支配と権力平均の主義;ナイトの法の支配とゲームのルールの観念)
第3部 政治的知性(政治的知性の観念;ヒュームと政治的知性の観念;福澤諭吉と政治的知性(公智)について
ナイトの政治的知性の観念について)
おわりに 法の支配と政治的知性と市民の倫理的知性
著者等紹介
桂木隆夫[カツラギタカオ]
1951年東京都生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。学習院大学法学部教授(公共哲学・法哲学)。法学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はとむぎ
13
人は、不確実な未来を確実な物にしたいと熱望しながら、確実な物は楽しめない。人は社会的な生物でありながら、反社会的である。確かにそうだなと。過去を大切にしながら、常識を疑い、未来を作る。そのバランスを取る主義が保守的自由主義。どちらかに偏らないことが本物の知性!勉強になりました。2022/04/15
chiro
2
この著作の最後に著者は21世紀において、法の支配の危機に対する担い手はもはや政治と経済の指導者たちだけではなく、指導者たちの政治的知性について判断を下す市民全体である。と記しているがまさに今のコロナ禍での無策の状況を見るときにそれを痛感する。福澤が称した江戸時代の360年を可能にした家康の態度こそを今の政府は謙虚に学んで施政に血投げるべきだと感じた。2021/03/21
Votoms
1
ヒューム、福沢諭吉、ナイトの三者に共通する、健全な懐疑主義、法の支配、政治的知性という要素を抜き出し、保守的自由主義について詳細に議論されている。普通保守と言えば、巷に平積みになっている愛国保守系の本が多いのだが、この本はそうした不毛な本とは異なり、保守思想の理論的なエッセンスを抽出しようという試みだと思う。特にナイトについては改めて勉強になった。一度挫折してしまったのだが、もう一回挑戦し直そうと思う。2021/02/03
めぐりん
0
保守的自由主義の3つの特徴①健全な懐疑主義、②法の支配、③政治的知性(≠理性)をヒューム・福沢諭吉・ナイトの言説に基づき解説;ヒュームが啓示主義(宗教)と啓蒙主義(理性)の狭間で経験と感性を元にした懐疑主義により慣習を重んじたことだけが何となくわかった。2021/04/29