出版社内容情報
日本史を根本から問い直し、多くの方に読まれた一冊を、大きな活字に。民衆の立場から、中世日本に新しい光をあて、多彩な歴史の横顔を平明に語る。
網野 善彦[アミノ ヨシヒコ]
目次
日本の歴史をよみなおす(文字について;貨幣と商業・金融;畏怖と賎視;女性をめぐって;天皇と「日本」の国号)
続・日本の歴史をよみなおす(日本の社会は農業社会か;海からみた日本列島;荘園・公領の世界;悪党・海賊と商人・金融業者;日本の社会を考えなおす)
著者等紹介
網野善彦[アミノヨシヒコ]
1928‐2004年。山梨県生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。名古屋大学助教授。神奈川大学短期大学部教授、同大学特任教授を歴任。歴史家。専攻は、日本中世史、日本海民史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マッピー
13
文字通り、日本の歴史を読みなおした本。農業中心に解釈してきた今までの日本史を、農民以外の猟師や漁師、鉱山労働者に経営者、手工業者に芸能民、僧侶や女性たちという、社会システムの枠からはみ出た人たちに注目して資料を読みなおすと、意外や意外、日本はそれほど農業どっぷり社会ではなかったのだ。平清盛も、木曽義仲も、源義経も、北条氏も、後醍醐天皇も、足利義満も、みんな西国の海岸線に所領を持っていたとは知らんかった。たくさんたくさん本を読んでも、なおわからないことが残る。だから読書はやめられない。 2019/10/29
まろん
2
百姓は、百の姓をもつ者、すなわち平民のことで、=全て農民と言う解釈は不自然とのこと。 江戸時代は、離婚は今より頻繁だった可能性がある。離縁の届け出を出す権利(義務)が男性にあったのであって、それを表面的に見ると男性が強かったように思えるが、妻が勝手に家を出たので仕方なく、のような書状もあったとか。 歴史を真っ向から信じるのではなく、裏を考えるのもおもしろい。2020/01/16
ソニックゆうすけ
1
歴史といえば暗記科目とも言われたりするけど、それは義務教育までの話。この本は、表舞台には立たない人たちの生活について書かれていて、興味深かった。個人的には前半の5章がとても面白く、文字、貨幣、差別、女性、天皇について多角的な史観を述べていて、歴史の楽しさに嵌る。著者の他の本はまだ読んでないのでよく分かりませんが、あとがきによると、筑摩書房社員への話を元に作られた本のせいか、優しい文体です。2020/06/14
numainu
0
評価C2024/12/19
kiki
0
特に文字、女性、非人についての話が特に面白かった。女性は穢れとされていたと歴史では習ったが、大きな間違いだ。中世より前だが、紫式部が源氏物語を執筆するためにその当時の宮中のことを細かく描いても問題にならなかったのは、権力者が紫式部を高く評価しただけでなく、女性というハンデは当時無かったからと考えるのも面白いと思う。