筑摩選書
極限の事態と人間の生の意味―大災害の体験から

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  • サイズ B6判/ページ数 256p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784480016164
  • NDC分類 369.31
  • Cコード C0310

出版社内容情報

東北大震災という巨大災害の体験を下に、ヨブ記やカント、ハイデガーやレヴィナスの思想を再考し、「認識のかなた」としての「人間の生」を問い直す。

内容説明

東日本大震災という苛烈な、それゆえに理不尽であり不条理でもある体験に、著者は哲学者・キリスト者としてどう向き合ったのだろうか。自らの体験を元に、ヨブ記やカント、ハイデガーやレヴィナスの思想を手がかりとして、かけがえのない「人間の生」を考え抜いた、遺稿となった書き下ろしを含む12の論考。

目次

1 大災害(大災害についての哲学的考察;大災害と人間の生の意味;目的論的自然観からの視覚)
2 絆(人間の絆の根底を考える;人間の絆と「無限」の栄光;寛容―人間の連帯の基礎としての他者の受容)
3 救い(日本的霊性の土壌;無となって自由になる;南無阿弥陀仏―万人はすでに救われている)
4 超越(神秘主義;自我と自己と共同体;自己への回帰)

著者等紹介

岩田靖夫[イワタヤスオ]
1932‐2015年。1961年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位修得退学。東北大学教授、聖心女子大学教授、仙台白百合女子大学教授を経て東北大学名誉教授、仙台白百合女子大学名誉教授。2003年、文化功労者。古代ギリシア哲学のほか、ハイデガー、ロールズ、レヴィナスの研究で知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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nobi

62
「ヨーロッパ思想入門」でその思想を簡潔、明晰に熱く語った哲学者が、東日本大震災に遭遇する。その災厄に三年後の自らの死の予感も重なってか、せき立てられるように彼は生の意味を問うてゆく。ライプニッツ、ヨブ記を、カント、レヴィナス、道元、親鸞を…手当り次第と見えるほどに論じ、投稿と講演を精力的に繰り広げる。全ては神の思し召しとの弁神論は説得性なく、形而下的に大災害も花が咲くのも物理法則に従った同質の現象と見るべし、原子力の利用とは様々な偶然から放射線のない温和な星となった地球を自ら破壊しようとする試み、と喝破。2019/08/31

壱萬参仟縁

31
経済は、人間がよく生きることに仕えるべきものではないか(014頁)。生きるとは他者にかかわっているということなのである(041頁)。経済とは元来生きるための基本的条件の供給という仕事(047頁)。人間とは、存在を贈られた者である(068頁)。正義とは、極端に単純化して言えば、人間が自由で平等であることを万人が相互に承認するということ(101頁)。福祉社会:人間の自由を最大限に尊重しながら、各人の能力や運命的条件の相違に由来する経済的格差をできるだけ解消しようとする努力 (105頁)。2015/07/22

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