筑摩選書<br> 日本語の科学が世界を変える

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筑摩選書
日本語の科学が世界を変える

  • 松尾 義之【著】
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  • 筑摩書房(2015/01発売)
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  • サイズ B6判/ページ数 240p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784480016133
  • NDC分類 402.1
  • Cコード C0340

出版社内容情報

日本の科学・技術が卓抜した成果を上げている背景には「日本語での科学的思考」が寄与している。科学史の側面と数多の科学者の証言を手がかりにこの命題に迫る。

内容説明

世界をリードする日本の科学・技術。その卓抜した成果の背景には、「日本語による科学的思考」がある!江戸から明治期、西欧から入る外国語の知を翻訳して取り込み、母国語の知識体系に位置づけなおしてきた歴史に遡り、また多くの科学者たちの証言を手がかりにして、この命題に迫る。そして、本来質の高い日本の科学が直面している問題に対峙、さらなる発展への道を提起する。ユニークな視点から解く、新しい「科学論」。

目次

第1章 西欧文明を母国語で取り込んだ日本
第2章 日本人の科学は言葉から
第3章 日本語への翻訳は永遠に続く
第4章 英国文化とネイチャー誌
第5章 日本語は非論理的か?
第6章 日本語の感覚は、世界的発見を導く
第7章 非キリスト教文化や東洋というメリット
第8章 西澤潤一博士と東北大学
第9章 ノーベル・アシスト賞
第10章 だから日本語の科学はおもしろい

著者等紹介

松尾義之[マツオヨシユキ]
白日社編集長、科学ジャーナリスト。東京農工大学非常勤講師(技術者倫理)。1951年東京生まれ。70年、都立国立高校卒業。75年、東京農工大学工学部応用物理学科を卒業し、日本経済新聞社に入社、「日経サイエンス」編集部に配属。95年、科学出版部次長(「日経サイエンス」副編集長)。85年から一一年間(約五五〇回)、TV東京系列の科学技術番組「シンクタンク」のキャスターも務めた。98年、日本経済新聞社出版局編集委員。2000年8月に退社し、2001年8月より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

tamami

49
幕末明治期、西周を初めとする科学者たちが、外国語文献中の事物や概念を日本語に翻訳し、以後日本は母国語で科学ができる世界でもまれな国となる。著者は、日本語それ自体に科学の進展に関して、有効な作用を及ぼす力があるのではないかとの仮説の下、ノーベル賞や周辺の科学者に焦点を当て、検証を重ねていく。著者の仮説が本物であることを願うと共に、真に創造的な物事は異なった文化の狭間に育まれるというもう一つの真理のためにも、最近の何でもカタカナ化される外国語を、より相応しい日本語に置き換える努力を、と声を大にして訴えたい。2021/07/12

isao_key

14
日本の創造的な科学者にとって、英語は必要であっても十分な武器ではない。最大の武器、それは日本語による思考なのだ、と著者は主張する。なぜ日本人は英語で科学をしないのか。その理由は、日本語の中に科学を自由自在に理解し創造するための用語・概念・知識・思考法までもが十二分に用意されているからだ、という。ここには江戸の蘭学以来の翻訳への取り組みの伝統があった。昔から日本は翻訳文化を持ち、優れた古典や新たな書物を日本語で意味を捉え理解できた。また知識啓蒙の役割を果たしている新書、文庫もアジアでは日本特有のものだろう。2015/07/22

Aki

8
筆者の主張する日本語による思考が英語による思考に優るのでは?という推論よりも、根拠として語られる多くの物語に筆者の科学ライターとしての蓄積が良く出ていると感じた。とても分かり易い近年の日本人科学者の業績が俯瞰されている。また改めて日本語で先端科学技術を含む全ての学問を学べる環境にあることを誇りに思う。先人のセンスと瑞々しい感性による日本語翻訳への努力に感謝。2015/02/27

Lila Eule

7
とても面白い。学究の先端の人々はしるよしもないが、地道で果敢に挑む姿と、成し遂げられた偉大な成果が、実は、日本語の科学としての成果であったものが多いと。この観察に未来が明るく感じられました。論文数を競ったり、アイデンティティーのないグローバル化など、百害あって一利なしの現状には未来が曇ります。でもネイチャーも面白い論文が減り、殻を破るようなものは日本人のものとの評に希望湧きます。「日本語の科学はすてたもんではない」とよくわかりました。2015/09/23

くわずいも

7
以前、母国語で読書する国は実はそう多くないという本を読み、今回は母国語で科学の学問や研究を行う国はそう多くないということを知り、改めて日本語を大切にしてきた祖先に感謝。母国語で考えるからこそ欧米では考えられない新たな発想が出て、その結果昨今のノーベル賞受賞に繋がるという説明に納得。言語が異なるお陰で今までの科学が発展してきたことを考えると、グローバル化は今後の科学の発展にとって障害になるのでは…ともあれ、科学ジャーナリストが書いてるので、文系ガチガチの頭でもそこそこ理解でき、楽しく読めた。2015/08/11

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