内容説明
その不可能なる肖像を彼らはいかにして描きえたのか。西洋思想の根幹に触れるイメージ生成の謎に迫る。究極の禁忌と欲望。
目次
第1章 失われた顔を求めて―キリストの肖像前史
第2章 マンディリオン伝説の構築―東方正教会における「真の顔」
第3章 マンディリオンの表象―東方における聖像論
第4章 複製される神聖空間
第5章 ラテラーノ宮殿の救世主の肖像―ローマのアケイロポイエトス
第6章 ヴェロニカ伝説の構築―西方世界における「普遍的教会の象徴」
第7章 ヴェロニカの表象―信仰と芸術のはざまで
第8章 キリストのプロフィール肖像―構築される「真正性」と「古代性」
著者等紹介
水野千依[ミズノチヨリ]
1967年、大阪生まれ。京都造形芸術大学芸術学部教授。専門はイタリア・ルネサンス美術史・芸術理論。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。2010年、博士(人間・環境学)。著書に『イメージの地層』(名古屋大学出版会、2011年、第三四回サントリー学芸賞、第一回フォスコ・マライーニ賞受賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ユーディット
6
今国際的に活躍している日本人研究者の一人。イメージ人類学という新たなネーミングからも分かるように、美術史でもない、思想でもない新しいアプローチ。接し方は違うがモチーフは私の研究と重なるので熟読してる。アジア、特に日本も扱ってくれるのか期待するところ。2015/09/27
OKKO (o▽n)v 終活中
6
約1年前、刊行後すぐ購入し読み始めるも、諸般の都合で第7章以降を読み通せずにいて本日やっと読了 ◆再読必至なれど、初回の感想ではまさに「感想」を吐露しておきたく ◆水野先生の圧倒的知識量と恐れを知らぬフィールドワークの結実に触れるたび、到底足元にも及ばぬことはわかりすぎるほどにわかっていながら、それでもイメージ人類学をポストコロニアリズムと掛け合わせて体得したい気持ちでいっぱいに! そうなるといやおうなしに学際的なアプローチが前提となり、アマチュアのオババがどこまで食いつけるかわからぬが、死ぬまでトライか2015/08/13
ひろ
4
先日の講義のベースとなっていた1冊。難しい…けど、空間についてはやっぱり気になる。もっかい読まねば!2014/10/28
陽香
2
201406152016/06/24
りょーへい
2
昨年から。今年の2冊目。「キリストの顔」。髭が生えているイメージがありませんか?誰も見たことも無く、肖像画も無いのに何故、描かれてきたか?この本は、この部分に焦点を当てています。聖顔布、イコンといった聖遺物に描かれた聖なるものは様々な様式などによって連綿されてきました。副題の「イメージ人類学序説」と共にキリスト教の深さや歴史性が重要視され、美術史の学問の中でも極めて難しい部類に入ると思います。難しいですが、美術を学ぶ人は読んでも損はないと思います。2015/01/13