出版社内容情報
ミクロにマクロ、ゲーム理論に行動経済学。多彩な受賞者の業績と人柄から、今日のわれわれが直面している問題が見えてくる。経済思想を一望できる格好の入門書。
内容説明
一九六九年の創設以来、四〇年間で六四名の受賞者を選出したノーベル経済学賞。いったい彼らは何を発見し、それはどのように役に立っているのか。ミクロ経済学からマクロ経済学、一般均衡に国際貿易、ゲーム理論に行動経済学。一見わかりにくい受賞者たちの理論を、彼らの半生、人柄とともにたどると、今日まで苦闘を重ねてきた経済思想の流れが見えてくる。20世紀の経済思想を一望できる格好の入門書。
目次
第1章 ノーベル経済学賞とは
第2章 自由市場主義者の経済学
第3章 ミクロの信奉者―シカゴ学派
第4章 カジノと化した株式市場
第5章 さらにミクロに
第6章 行動主義者
第7章 ケインジアン
著者等紹介
カリアー,トーマス[カリアー,トーマス] [Karier,Thomas]
経済学者。カリフォルニア大学バークレー校でPh.D取得後、現在はイースタン・ワシントン大学教授。バード・カレッジのジェローム・レヴィ経済研究所の研究員
小坂恵理[コサカエリ]
翻訳家。慶應義塾大学文学部英米文学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
3
いわゆるノーベル経済学賞の歴史をたどる本。受賞者と提唱した学説についてわかりやすく述べている。フリードマン、ハイエク、ショールズら市場重視派の経済学者に厳しく、逆にサミュエルソン、スティグリッツ、ソロー、トービンらケインジアンには明らかに好意的なのが良い。著者カリアー先生についてはほとんど知らないが恐らくケインジアンなのだろう。2015/05/26
kozawa
3
ノーベル経済学賞受賞学者の2009年までの62人全員の受賞理由や受賞者の受賞理由以外の主張やプロフィール等を交え受賞年代順ではなく、現代経済学の理解の参考になることを意図して分類して解説した形。これで邦題の副題と思われる「20世紀経済思想史入門」になるのかどうかはよくわからないけれど、数式を使わず一般読者向けに努力して書かれたのではと。原題って「知的資本」って意味なのかしらん。それにしても、著者は受賞した経済学者の理論がどれだけ現実に当てはまらないかについての批判が全体的に手厳しい感じ。2012/12/01
takao
2
ふむ2022/09/29
壱萬参仟縁
2
数学に頼らずに科学理論を市民に説明することの難しさが冒頭で書かれている(013ページ)。確かに、かなりの部分を高等数学、微積、偏微分などの知識がないとモデル式を多用した論文を理解できないのが経済学という気もする。女性科学者の受賞者が少ないのも疑問となる(023ページ)。J.ロビンソンは取れていない。E.オストロム(故人)がようやく取れたからである(2009年)。他にもJ.ガルブレイスも外れている(024ページ~)。著者は経済学を科学から一線を引く(029ページ)。そうではあるが、経済学者にも夢は必要だ。2012/11/08
ぽん教授(非実在系)
1
現実を説明できず数式やマネーゲームで遊んでばかりのネオリベラリズムに甘すぎるノーベル経済学賞を徹底的に茶化す。その意味では、著者はハイエクよりもフリードマンの方がより嫌いっぽくて個人的に趣味が合うところ。2016/10/19