出版社内容情報
子どもの心や発達の問題とみなされる事象の背後に、母親の病が隠されていた! 精神医学の立場から「機能不全に陥った母とその子」の現実を検証、克服の道を探る。
内容説明
子どもの心や行動、発達の問題とみなされる状態の背後に、母親の病が隠されていた!うつや不安障害、パーソナリティ障害や依存症など、近年増加する子育て世代の心の病。不安定な親に育てられる子どもたちは、どのような精神状態にあるのか。発達や人格形成に影響はないのか。どうすれば乗り越えられるのか。これまで見過ごされがちだった「機能不全に陥った母親とその子どもたち」の現実を検証、克服の道を探る。
目次
第1章 シック・マザーとは何か
第2章 シック・マザーの問題はどう理解されてきたか
第3章 シック・マザーと不安定型愛着
第4章 シック・マザーと子どもの発達
第5章 シック・マザーと子どものパーソナリティ
第6章 シック・マザーの特性と背景
第7章 シック・マザーがかかえる疾患、障害
第8章 シック・マザーを克服する
著者等紹介
岡田尊司[オカダタカシ]
1960年香川県生まれ。精神科医、作家。東京大学文学部哲学科中退・京都大学医学部卒、同大学院医学研究科修了。医学博士。京都大学高次脳科学講座神経生物学教室、脳病態生理学講座精神医学教室を経て、現在、京都医療少年院勤務。山形大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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小鈴
15
このタイトルは母原病のようにスティグマ化する問題を抱えている。でもだからこそ逆説的に語られにくいことを色々知ることができた。愛着障害は基本的に母親との関係のトラブルで生じ、臨界期があり、その期間は0~2才までで特に6ヶ月から一歳半の一年間が養育者との愛着の絆が形成される大切な時期。愛着は刷り込み現象と似ており、この時期に愛着形成がなされないと生涯に渡って誰とも安定した愛着の絆の維持、発展させることが難しくなる。読んで思うことは事後的に問題克服するより予防が何より大切。2015/07/22
こばまゆ
9
支援と克服の方法 ➀丸ごと受け止める②良いところ探しをする➂生活の秩序を保つ④親の病気や事情について理解する⑤本当の気持ちを大事にする⑥場合によっては距離をとる ケースも多く紹介され、丁寧な内容だが、内容が繰り返されていることも多く、くどいさも感じた。愛着について、ここでも語られている。2016/12/20
estarriol
4
今の自分の考え、判断基準、行動基準、幸福感、自尊心など、ベースとなっているもの多くは、幼少期の愛着に起因しているのかな、と思わせる一冊。完璧な親はいないが、将来子どもが大きくなって、愛着に起因するトラブルが少ない、もしくはそれを乗り越えられるような、奥行きのある教育をしていきたいなと感じた。★★★☆2019/11/14
okaching
4
岡田さんの愛着について書かれた他の本とあまり違いはない。愛着を知る事でこれまで側にいた友だち、同僚の人たちの見方が少しずつ変化している。違和感の理由が解けていく。愛着の克服というのがどういうものを指すのかわからない。図書館で借りてきた本だが、コーヒーをこぼしてしまい買い取りに…これではなく母という病の方を買い取りたかったな…。2016/01/23
くまこ
4
アルコール依存症との関連性、とりわけ胎児性アルコールスペクトラム障害についての解説をチェックした。ジュースのように気軽に飲んでしまう低アルコール濃度飲料の危険性、出産や子育てへの不安・不満を紛らわすための飲酒、料理をしながら景気づけにひっかける一杯の習慣化など…身近な例がフラッシュバックして、かなり心拍数が上がった。2012/12/18