内容説明
いわゆる「母性愛」は、本能などではなく、母親と子どもの日常的なふれあいの中で育まれる愛情である。それを本能とするのは、父権社会のイデオロギーであり、近代がつくりだした幻想である…。母性本能の神話性を論証し、母と子の関係、また女性の在り方に再考をうながした問題提起の書。1980年に出版されるや大論議をよんだ。その反響、批判をふまえた「新版への序文」を付す。フェミニズム歴史学の最良の成果の一つ。
目次
第1部 愛の不在(父権・夫権の長い支配;1760年以前の子どもの地位;母親の無関心)
第2部 新しい価値―母性愛(子どもの弁護;新しい母親)
第3部 強いられた愛(ルソーから受け継いだ道徳論あるいは「ソフィー、その娘たち、孫娘たち」;フロイトから受け継いだ医学論;神話と現実とのずれ)
楽園は失われたのか、見出されたのか