感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
13
何度かノーベル文学賞候補になったという、萩原朔太郎の精神的血族(と私は認識)西脇順三郎の詩論であるが、素直な文体でボードレールやマラルメら象徴主義について分かりやすく縷々綴られた思いのほか面白い良い本で、大切な一書になった。キルケゴールやニィチェからバイロンやヴァレリーまで、その深い学識と詩への深い理解によって縦横無尽に西洋近代詩を語りつつ「詩とは何か」という問いにも西脇流に答えている。「ポエジイは隠されていてこそポエジイだという気がする」と世阿弥みたいなことを考えていた人ゆえ、本質は謎のままであるが。2025/06/23
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