出版社内容情報
豊かな良き時代から困難な時をへて、今に至る自身の思いを、少女の頃からの美への執心を結晶したコレクションの逸品とともに披瀝する
内容説明
おしゃれを極めて、人生の幸せに至る…モノに出会い、魅せられ、導かれ、豊かに実った池田重子「美」の履歴書。初公開のコレクション多数掲載。
目次
前章 池田重子コレクション 四季を謳う日本のおしゃれ
第1章 「美」との出会い―私の心を動かし、人生を導いたもの(結城紬・父の袂を握った幼い日;中国骨董・前世は中国人であったかも;帯留・池田重子コレクションの原点;更紗・海を越えて花開く生命力;半衿・季節や趣味を物語る私の分身 ほか)
第2章 ことばの玉手箱―私の信条、私の美学
第3章 かげろう彼方―私が歩んできた道のり(「躑躅御殿」に生まれて;「鈴弁」の家族;トリコロール・コーディネート;粋との出会い;「ステキな人になろう」 ほか)
著者等紹介
池田重子[イケダシゲコ]
大正14(1925)年、横浜に生まれる。東京・目黒にある「時代布と時代衣装 池田」店主(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒロミ
54
読み終わったあと、ひたすらため息をつくような美しい本でした。池田さんのコレクション写真と短い言葉を添えた章、帯留と短い随筆を添えた章、池田さんの人生を振り返る随筆が綴られた章、で構成されています。裕福な家庭に生まれながらも波瀾万丈な人生を歩まれた池田重子さん。お洒落と美に賭ける熱い情熱がひたひたと胸に迫ります。美しい物に囲まれて暮らすにはかなりの覚悟が要ると知らされた一冊でした。2017/10/12
G-dark
22
着物、帯、帯留、髪飾り、あらゆるものが洗練され、中にはとぼけたような可愛らしさのものもあり、上質な遊び心も伝わってきます。「遠くから見て〝向こうからすごい格好をした人がやって来る〟というのではなく、すれ違って〝どんなものを着ていたかよく覚えていないけれど、いい感じだった〟と思われるくらいが、おしゃれです」という考え方に共感。きっと、派手すぎず、地味すぎず、よく似合い、その場に調和したバランスの良いコーディネートなら「どんなものを着ていたかよく覚えていないけれど、いい感じ」という仕上がりになるのでしょうね。2021/10/15
しば
7
本当に身の内側からこぼれてきた言葉によってつづられている文章だな、と感銘を受けました。着物は魔物、とだれかに聞いたのですが、『魔物のすむ世界へようこそ』という感じの本です。2015/08/24
安南
7
十数年前、伊勢丹での池田氏の展覧会がめくるめくきものの世界、べべ地獄への入口でした。横光利一の「寝園」のヒロインを思わせる豪奢な着姿。わたしにとっては永遠の憧れです。ただこの表紙はいかがなものか。池田氏らしい美しい本にしてほしかった。2013/01/18
Yoko Kakutani 角谷洋子/K
3
裕福な家に育ち、豊かな文化資本を浴びた活の中で、池田重子さんのハイセンスが磨かれたのだ、とよく分かりました。2023/06/19