感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅん
12
大谷能生『歌というフィクション』で随一の扱いを受けている70年代の詩論。日本語の詩が等拍で読まれる点から、休符の置き方とリズムの加速性に和歌の特徴があることを見抜き、發音(ン)の加速、促音の減速を見出す。たしかに、アンコールの拍手は絶対に加速する。二拍子の軍歌の頭が伸びて(「おもいいれ」が入って)シャッフルの三拍子になる説は、真偽はさておき面白い。共同体のビート(五七五や三三七拍子)とどのように対峙するかが、宮沢賢治や中原中也それぞれの詩的場面に応じて描かれる。その政治性にヒントがある気がする。2023/08/10