内容説明
三度の飯より本が好き。生まれたときから本が好き。ねころんで本を読む話から、正しい本の並べかたまで、精選ハズレなしのおすすめ本三十冊から、とびきりおもしろい日本人の伝記十冊まで、本づくしの一冊。
目次
第1章 腹ペコ少年読書録(わが読書法;内藤湖南と津田左右吉―若き日の読書法;とびきりおもしろい日本人の伝記十冊 ほか)
第2章 独断書評三十傑(よい随筆家であるためには;陽気な天才;サムライ商人 ほか)
第3章 本の並べかたについて(本の並べかたについて―昔の中国、今の中国;曖曖たり遠人の村;学者の運命 ほか)
第4章 わたしのフリカナ論(わたしのフリカナ論)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まこみや
17
高島さんは、聞くところによると、母の介護のために岡山大学助教授を辞して、以降在野の研究者として過ごされたとのこと。本書の中の「腹ペコ少年読書録」は、ご母堂のことを思いつつ自らの読書体験を語っていて、読むたびにしんみりとさせられる。合掌。2021/04/08
のんき
3
書評や本にまつわるエッセイを集めたもの。文章表記へのこだわりは相変わらず。「わたしのフリカナ論」でノックアウトされる。意味の分からない字音語にフリカナつけても無意味。…なるほど、なのであった。とはいえ一般人は意味が分からない言葉は読み方を手がかりに国語辞典をひくことが多いので、そういう事情も考慮していただけたらな、とも思うのであった。2010/01/19
まこみや
1
高島俊男さんの本の読み返し三冊目。いったい彼の文章は複雑なことを秩序立てて説明して、曖昧な箇所を明確に指摘して論理を優しく包んで叙述する。さらにその根拠と例証が的確だ。そして何よりも語句や文言を表現するにあたって一貫した厳密な姿勢を崩さない。高島さんの本を読むと、あたかも自分の頭がよくなったかのような錯覚を覚える所以である。本書でも「学者の運命」における許政揚の境遇、「中国白話小説への招待」における中国の「文学」の特徴、「わたしのフリカナ論」における日本語と漢字の癒着の不幸にとりわけ感銘を受けた。2020/01/01
朝吹龍一朗
1
表紙の色鉛筆にJISマークがあるのが諧謔的。著者はとても工業的そして標準的ではない。春秋戦国時代にシナではもっとも学問が発達し、統一王朝ができてからはそれが後ろ向きになった理由を「自由競争の有無」で説明してしまうところは面白い。2011/06/25