内容説明
数値化できないものまで数字で示し、明瞭な目的に向かって、できるだけ合理的、効率的、経済的に生きる現代人。物事を「頭」で促えれば促えるほど、「生」の実感からは遠ざかる。現実を直視し、よりよく生きるために本当に必要なものはなにか?わたしたちをがんじがらめにする社会の仕組みに切り込む。
目次
第1章 愚かになる人間(「極楽」に生きる;「世間」を出る)
第2章 肥大する現在(「時間」病;「知」の毒)
第3章 カチンカチンの世界(「自分」知らず;「生死」のブラックボックス)
第4章 手入れの思想(「世界」の行きつくところ;「日本人」の生き方)
著者等紹介
養老孟司[ヨウロウタケシ]
1937年、鎌倉市生まれ。1962年に東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。1995年、東京大学医学部教授を退官し、同大学名誉教授に。1989年、『からだの見方』(筑摩書房)でサントリー学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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わ!
4
かなりの昔、私がまだ社会人になって間もない頃に「唯脳論」を読んで「ガツン」とやられてから、定期的に養老さん本を読むことが癖になってしまった。ハレとケの例えでは無いけれど、しばらく生活していると、調子に乗って世の中の「理」を忘れてしまうのであるが、再び養老さんを読むことによって、再びガツン…を思い出して、道を逸れずに歩けている(と思う)。この本は世紀末あたりのノリノリだった養老さんの講演を本にしたもので、三つの講演がおさめられている。だから話が繰り返しになるところも多いのだが、それだけ印象には強く残る。2024/04/02
Asakura Arata
3
都市化が先生の重要なワード。自然をゼロにするには、究極的には人間の意識を取り出し、意識だけの世界を作らないとだな。そのような未来は、多分ディストピアになることは間違い無いだろう。2024/01/28
どん
1
1994年から2000年までの講演録をまとめた本。 いろいろな場で講演されているので、同じ話が何度も出てくるが、繰り返し読み、思い出すことで著者の考え方がよくわかってくる。昆虫採集の話、なぜ解剖なのか、里山の手入れ、都市化、複雑系は日本の社会、文化。日本人の特異性も理解できる。2025/09/25
Mマジパン
1
養老先生の講演集。東大医学部退官直後のものだから30年前になるが、あとがきで書かれているように基本的に今も考えは変わっていない。永年人間の死体とかかわってきて、人の「死」というものを想い、その後に「生きること」を考えるという普通の人とは逆の経験から出てくる叡智は本当に傾聴に値する。もう一つ、昔の自然豊かな鎌倉に生まれて少年時代に明け暮れた昆虫採集が老年に至っても一つの生きがいになっていること、そして、そこから生まれた「手入れ」の思想なども、何度も書かれていたことだが心に響く。2025/01/22
はな
1
自己が強いことは、豊かだか、自分 との乖離がより大きい。確かに。 建設的視点、死を考えずにつくられた団地。 なるほど。 半分くらいは読み砕けていないのだけど、なんとなく自分の無意識な本能が何か探りながら進む。 でも言語化ができない。。 言葉は停止して残るもの。 言葉にすることには責任もたなければと思うものの忘れる。 コントロールでなく、手入れ。 2023/11/18




