出版社内容情報
知野 みさき[チノ ミサキ]
著・文・その他
内容説明
旨い菓子がたんとありやす。いや、旨い菓子しか置かてねぇんで―。兄・光太郎と弟・孝次郎が営む江戸深川の菓子屋「二幸堂」は間口を広げ、新しい縁に恵まれ、王子の菓子屋「よいち」とともに、今日も人々の心に寄り添う菓子を供している。待ち焦がれた命の誕生を祝う朝顔を象った練切「すくすく」、肉桂の粉で花を描いた白餡の水羊羹「睡蓮」、値千金の祝言に華を添える祝い菓子「千両箱」と「黄金丸」、栗餡が要の上菓子「十日夜」、選びかねる粒餡とこし餡の旨味を味わう「伯仲」…心のこもった極上の甘味が、縁ある人の幸せを願う想いを照らし出す。大人気時代小説「深川二幸堂 菓子こよみ」に続くもうひとつの物語!
著者等紹介
知野みさき[チノミサキ]
1972年生まれ。ミネソタ大学卒業。2012年『鈴の神さま』でデビュー。同年『妖国の剣士』で第四回角川春樹小説賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
95
完結後に意外に早く続編が読めるとは。光太郎と幸次郎が営む「二幸堂」を少し違った角度から描いた物語。光太郎の子供が産まれ、妻の連れ子である小太郎はお兄ちゃんになったと大喜び。自分の本当の父親は光太郎ではないことを知った小太郎の幼いながらもそれを受け入れる気持ちにさせたのはやはり光太郎の大きな度量と優しがあるから。他にはお汀と玄太の長い春に終止符を打たせようと周りが当馬を演じたりわちゃわちゃと。お菓子大好きのお七が活躍するお菓子番付の話も面白い。その都度出て来る和菓子の数々を想像するだけで…たまらん!2022/12/09
真理そら
74
思いがけず続編登場(うれしい~~!!知野先生ありがとうございます)。「番外編」ではなく「続編」だから「~たより」シリーズとして登場したんですよね、たぶん。光太郎の妻・葉の出産から物語が始まった。「二幸堂」は間口が広がって縁台を置いて上菓子を食べられるようにしたので「~こよみ」時代より大所帯になっている。小太郎の悩みやら八郎の淡い初恋やらいろいろあるけれど、「伯仲」の菓子くらべが楽しい。番付にたいする七さんと孝次郎の考え方の違いもおもしろい。白あんの水羊羹食べたいです。2022/09/12
天の川
63
『深川二幸堂 菓子こよみ』が完結したのが名残惜しいなぁと思っていたので、第二部が始まったのは嬉しい。兄弟の恋模様は落着しているので、より和菓子に焦点が当たってきた感じ。お話一つに新作の和菓子が一つ♪菓子番付表をめぐって、研鑽を積んできたのに評価が低かった4店舗での菓子くらべは、順位がついても、それぞれの店のことをキチンと評価している人々の入れ札のコメントにじんわり。今のSNSでの評価について一石を投じるような話だった。2023/04/05
ベローチェのひととき
43
深川ニ幸堂の3巻目を読み終わり、全巻終わってしまったと寂しさを感じながら、読メで他の方のコメントを読んでいたら、番外編(本書)が出ていることがわかり、すかさずネットで入手した。今回は小太郎、八郎、暁音、孝次郎が主役の4編でした。いゃ〜良かった。特に4編目では他店舗との菓子くらべがあり、実に面白かった。又、その後の番外編出ないかな。楽しみに待ってます。2025/06/17
kouya
37
小太郎、八郎、暁音、孝次郎、それぞれの視点からの4話。どの話も、結果良かったねと思える暖かい内容だった。小太郎の「すくすく」は、こんな事考えてちゃんと言える子だったんだと涙が止まらなかった。孝次郎の「伯仲」は、二幸堂以外の菓子屋を巻き込み、終始わくわくしながらあっという間に読んでしまった。この数年後の経過報告含めて、外伝2出ないかなぁ。2025/03/11