内容説明
『ウルトラセブン』『怪奇大作戦』『ノストラダムスの大予言』『ブラック・ジャック』『O‐157予防ゲーム』これらの作品は、なぜ、どう禁じられたのか。粘り強い取材で意外な真相を明らかにする新世代ルポルタージュ。
目次
第1章 闇に消えた怪獣―『ウルトラセブン』第一二話「遊星より愛をこめて」(消された思い出;ある中学生の告発 ほか)
第2章 裁かれない狂気―『怪奇大作戦』第二四話「狂鬼人間」(「傑作」か「怪作」か;一人歩きする噂 ほか)
第3章 忘れられた予言―映画『ノストラダムスの大予言』(裏切られた終末;被爆者の抗議再び ほか)
第4章 禁じられたオペ―『ブラック・ジャック』第四一話「植物人間」・第五八話「快楽の座」(「漫画の神様」の隠された遺産;差し替えられた単行本 ほか)
第5章 萌える行政―『O‐157予防ゲーム』(自分が当事者に;出し抜き合う新聞 ほか)
著者等紹介
安藤健二[アンドウケンジ]
1976年埼玉県生まれ。フリージャーナリスト。早稲田大学第一文学部を卒業後、産経新聞社に入社。さいたま総局、デジタルメディア局などで記者業務に就く。2004年2月に退社し、単行本の執筆活動を始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tomi
26
現在視聴困難な特撮ものやマンガが封印された経緯を追ったルポ。「ウルトラセブン」第12話の場合、被爆者差別を助長すると抗議を受けたからだが、この作品は反核をテーマに制作されたものだった。当時の多くの関係者に取材しているが、商業主義に走ったプロダクション側にもかなり問題があるようだ。「ブラック・ジャック」への抗議で手塚は障害者を描くことを自粛したという。圧力によって自主規制すると問題自体がタブー視されて誤解や偏見を生みだす可能性もある。難しい問題だ。2014/02/07
タルシル📖ヨムノスキー
25
ウルトラセブン第12話、怪奇大作戦の第24話、映画ノストラダムスの第予言、漫画ブラックジャック第41話・第58話。これらが放送禁止になった原因と理由、そして経過を追ったドキュメンタリー。ウルトラセブンの話は、なんとなく聞いたことがあった。ブラックジャックの話は、確かビブリア古書堂で触れられていたような。昔は作り手も抗議する側も、それぞれの主義主張がはっきりあったけれど、最近は匿名のそして面白半分のネット民の力が世の中を動かす恐ろしい時代。抗議する側は、まずその中身をしっかり確認してから行動に移してほしい。2020/02/25
undine
3
有名な封印作品の謎を解明するためにあの頃まだ存命中だった関係者に取材できて、それを記録に残すことができたのは貴重だ。作り手と受け手が双方が善意でありながらも思いのズレによって封印作品となってしまったり、受け手の当たり屋的ないちゃもんで封印された作品があったりと、この問題は一筋縄ではいかない。今はネットで容易に炎上し、作り手が萎縮してしまうことがあるが、一方で表現の場が多様化しているので、作り手が本当に作りたいものを世に出すこともできている。封印されるとみたくなるのは人情、できれば封印は少ない方が良い。2025/01/16
lanikai
3
ウルトラセブンの12話が一切再放送されず、DVD等にも収録されない幻の作品であることはファンの間では有名。被ばく星人「スペル星人」が登場、ケロイドの体であるため、大人の事情で放映できないのだと。つい最近、とある方よりこの話をめぐって幼女殺害の宮崎某が登場する話を聞き、興味を持って読み進めた。著者は実相寺監督を含め当時の関係者に直接取材し、状況証拠と併せて「なぜ、どうして?」という点を詳細に解き明かす。円谷プロの封印の度合いがとてつもないこともわかり、ノンフィクションとして充分楽しめる本だった。2012/10/11
pudonsha
1
円谷作品封印の謎を追っていくところはリアルなドキュメントタッチで、探偵小説を読んでいるかのようで引きこまれた。2016/07/10