内容説明
本書は、1989年から1991年にかけて世界を襲ったさまざまな「時の問題」を独特の視点から簡潔、平明に論じた時論集。新しい世界秩序、脱工業秩序を模索、構築しようとする書であり、いわば現代を素材に未来を考えるヒントの書でもある。
目次
1 ワールド・プロブレムズ―世界の新秩序を求めて(不透明な時代;気乗りしない戦争;21世紀への予感;ドイツ統一の意味;ペレストロイカのゆくえとソ連経済の謎;誕生する欧州合衆国の標的)
2 エコノミック・プロブレムズ―新たな繁栄の道を求めて(自由貿易の将来;貿易交渉とドル;アメリカ景気のゆくえ;アメリカの財政赤字とインフレ;非公式経済と自由市場経済;エネルギー資源の新展開;環境汚染問題の重要性;高品位テレビの出現と産業へのインパクト)
3 ソーシャル・プロブレムズ―よりよい社会の構築を求めて(高まる人種、民族的緊張の潮流;アメリカ社会を襲う麻薬戦争)
ダニエル・ベルの世界を理解するために
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
27
図書館お持ち帰り下さい本。1990年といえば、平成3年。まだソ連はあったし、EUはない。その時点の21世紀の未来予測。当時の社会学の権威が著した本書も、そのほとんどが的を外れたが、それを笑うのではなく、当時の世界を振り返り、外れた要素を考えるには興味深い視点を得られる。日米欧の三極化、天然資源依存社会からの脱出、共産圏の停滞的継続。大学者でも見誤ったのはやはり、情報技術の革命的進化と、中国共産党の経済、軍事、領土の拡大志向。逆に正鵠を得ていた麻薬戦争と民族紛争。時に無価値化されるこの手の本をまた読みたい。2019/05/18