出版社内容情報
過去100年の経営環境の変化を振り返れば、企業成長は技術の進歩とグローバル化、それらに伴う需要・消費の拡大がもたらしたものであり、企業成長が世界経済を牽引していることは紛れもない事実である。人々は企業の発展が人類にとって「善」(利潤の還元や生活水準の向上など)と「悪」(公害や労働問題など)の両面を併せ持つことを承知したうえで企業成長を歓迎した。それが世界的経済成長を導き、自分たちの生活を豊かにしてくれたからである。
ところが、21世紀に入ってからは、格差拡大、地球環境問題、洪水などの大規模災害、そして世界を震撼させた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)という世界共通の危機が顕在化したことで企業経営が揺さぶられ、「信頼される企業」の姿が大きく変わりつつある。
たとえば、労働環境の劣悪さを理由に従業員が一斉に退職した米ファストフード・チェーン、従業員2万人の新型コロナウイルス感染の公表に躊躇したため安全性軽視と非難された米IT企業など、「企業に対する信頼」が一夜にして崩れる例は後を絶たない。だからこそ人々は、事業の運営と継続を追求する企業を信頼する。企業戦略、事業戦略、組織運営、社会課題の解決などの課題がこれまで以上に包摂的かつ複雑に絡み合ういま、企業経営は「信頼に足る行動を伴うかどうか」で判断されるのだ。
「信頼できる企業」と認めてもらうには、「あまねくステークホルダーの期待に応えるための事業運営ひいては企業経営を行う」というきわめてシンプルな原則を組織に浸透させるしかない。
そこで本書は、戦略、事業モデル、顧客接点、サプライチェーン、ファイナンス、IT・デジタル、組織・人材などの機能別に、「信頼される企業経営」を導くための方法を60点に及ぶチャート共に解説する。
内容説明
企業はいま、これまでにない変化の時を迎えている。社会情勢が大きく変化し、人々の幸せの在り方や企業に対する評価などの“モノサシ”自体が変容する、変化の時にあって変わらないものは何か―それは、企業経営の軸が「信頼」であることだ。企業を取り巻く環境の変化に応じて信頼の性質が変わるなかで、アップデートされた信頼を獲得するために企業は何をしなければならないのか、何をすべきなのかが問われている。
目次
序章 問題提起 経営課題としての「信頼」―経営環境の変化が求める信頼のアップデート
第1章 戦略 存在意義に基づく戦略の実現―市場の公器から社会の公器へ
第2章 事業モデル 機能も感情も満たすライフスタイルを実現―競争から共創へ
第3章 顧客接点 顧客体験を昇華させるよいプロダクトとストーリー―4Pのバランスからプロダクト重視へ
第4章 サプライチェーン 3つのEを考慮した新たなQCDの体現―経済性から、非経済性との両立へ
第5章 ファイナンス ビジネスパートナーとしての経済価値と社会価値への貢献―守りから攻めも備えた企業変革の推進者へ
第6章 IT・デジタル データと協奏した価値の創出―保守からデータを活用した価値創造へ
第7章 組織・人材 “個”の志の実現を支援するヒューマンエクスペリエンスの追求―組織重視から個人重視へ
第8章 総括 未来にわたって信頼される企業となるために―対象、次元、時間軸の3つの変化に対応する
感想・レビュー
-
- 電子書籍
- 二度目の人生 俺は至尊になる【タテヨミ…
-
- 電子書籍
- ネクストライフ【分冊版】 18 角川コ…
-
- 電子書籍
- 渡瀬昌忠著作集 第三巻 人麻呂歌集非略…
-
- 電子書籍
- 教育ジャーナル2013年9月号Lite…