出版社内容情報
「金利操作と成長」の処方箋黒田日銀政策をあらためて検証する≪日銀金融研究所長などを歴任した金融論の第一人者が語り尽くす≫
翁 邦雄[オキナ クニオ]
内容説明
日銀金融研究所長などを歴任した第一人者が生きた題材をもとに景気、成長と金利の関係を検証。
目次
第1章 金利とは何か
第2章 バブルとデフレ、どちらをとるか
第3章 長期停滞が懸念される理由
第4章 自然利子率がマイナスの場合の金融政策
第5章 マイナス金利政策の登場
第6章 「マイナス金利」追加の功罪
第7章 「イールドカーブ・コントロール」の行方
第8章 「財政政策の時代」と金融政策
著者等紹介
翁邦雄[オキナクニオ]
京都大学公共政策大学院教授。1974年日本銀行入行。同調査統計局企画調査課長、同金融研究所長などを歴任。2009年4月より現職。専門は金融論、金融政策論、国際金融論。『期待と投機の経済分析』(東洋経済新報社、1985年、日経・経済図書文化賞受賞)、『ポスト・マネタリズムの金融政策』(日本経済新聞出版社、2011年)、『日本銀行』(ちくま新書、2013年)、『経済の大転換と日本銀行』(岩波書店、2015年、石橋湛山賞受賞)など著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
82
金利についての経済学的な意味を非常に分かりやすく説いてくれています。ただやはり経済学の基本だけは知っておかないとかなり難しく感じられるのかもしれません。最近のマイナス金利の是非と黒田さんの金融政策についても詳しく書かれていて参考になりました。正統的な日銀マンの考え方が示されていると感じました。2018/03/31
Francis
15
再読。猫町オンライン「アフターバブル」の参考に再読。アベノミクスは失敗だった、と総括して話題になったクルーグマンのブログについての解説あり。翁さんの言う通り、黒田東彦日銀総裁の異次元金融緩和策の破綻はこの本が書かれて4年経った今明らかになった。しかし出口戦略は見えず、おまけにコロナ禍にもかかわらず、日本の財政赤字は危機に近づきつつあり、GO TO…政策のように政策は迷走中。金融・財政政策に即効薬を求めるのではなく、中長期的な視点から望ましい経済はどのようなものか、考える時期に来ているのだろう。2020/12/06
Francis
15
金融経済読書会の9月の課題本。著者の翁さんは日銀出身で日本でバブルという経済用語を初めて用いた研究者。自然利子率が低下しているために世界経済は長期停滞に陥りかねない危機的な状況にあるとの認識のもとに、ポール・クルーグマン教授により提唱されたインフレ目標・異次元緩和、そしてマイナス金利政策は果たして有効か、数字を示しながら論じていく。前から似たような議論には接していたので、この本の内容はおおむね頷ける内容。2017/09/06
奈良 楓
11
【〇】難しかったが、なぜ現在の低金利政策をやめられないのか、その一歩踏み出せない理由がなんとなくわかった。大学の講義の教材にとてもいい本、と思います。2018/03/19
羊山羊
9
とても読みやすく、面白い経済の教養書。そこそこ専門的な知識が要される本にも関わらず、本の構成やまとまりがよいからだろう、とても読みやすく進めることができた。金利政策に抜本的な意味はない、とかお金のばらまき政策や心理的な政策など、なかなか他の本では見られない着眼点がいっぱい。金利政策の勉強や現在の経済状況の俯瞰におススメの1冊。2018/08/24