内容説明
プロフェッショナルとして知恵を絞れば絞るほど、消費者のこころを見失ってしまう「差別化の罠」。ビジネスマンの誰もが抱えるジレンマを共に考え、共に解決の方向を探る。
目次
第1部 私たちが陥っている「競争」の正体(自覚はなくても、同じ方向を目指している;よくしようという努力が、感覚を麻痺させる;選ぶだけで大変すぎて、愛着どころではない;競争の群れから脱け出すには)
第2部 私たちの目を奪うアイデア・ブランド(世の流れの逆を行く「リバース・ブランド」;既存の分類を書き換える「ブレークアウェー・ブランド」;好感度に背を向ける「ホスタイル・ブランド」;ひと目でわかる違いを出せるか)
第3部 私たちは、人間らしさに立ち返る(生まれたてのアイデアには、呼吸する時間が必要;私たちは、もっとうまくやれる)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
41
興味深い一冊。ここでは、主に消費者、つまりBtoCのビジネスについて述べられているが、それだけに収まらない視点だと思う。消費者、ユーザーと考えると、幅は広がる。「異質的同質性」という言葉が印象に残る。それと、「異質」という言葉もだ。この二つの言葉が、この本のエキスだと思う。人の心に摩擦を起こすことで、イノベーションにつながる。万人受けを狙わず、同意する人たちだけでよい。コアファンは強いし、アイデンティティーにつながる。そこから、広がっていく。万人受けとは、すぐに飽きられる、同じものがでてくるということ。2020/10/12
犬こ
23
例えば、ミネラルウォーターだけでも数えきれない銘柄があり、どの企業もうちのが一番とアピール。一方、消費者は数多さから選べず、このブランドだから買うではなく、水は単なるカテゴリーとして認識し、ブランドに特にこだわりがなくなっている中、メーカーは開発費をかけ、いろんな味を投下し続け、…という磨耗のサイクル。過度の成熟、過度のセグメント化、過度の拡張、過度の競争は、結果、コモディティ化してしまう。大変ためになりました。2017/02/03
majiro
10
ひょんなことから、読まずに知人にあげちゃって、どうせ図書館にあるだろうと探そうとして、書名が出てこなくて困った!名前も「ムンミ先生だったかな・・・」というていたらくで、結局、あげた相手にあげた本の題名を聞く愚行に至ってしまったのだった。淡々と、しかしクレバーかつ客観的に話が進んで行く、そして、つまらない消費者戦略に溢れた世の中を容赦なくぶった切る。そこには、実は、つまらない世の中に対する激しい憤りがある。ところで、題名の話に戻るんだけど、「Different」という原題はすごくしっくりきたなあ。2016/02/22
かやは
9
一生ものの家具を選ぶわずらしさから人々を解放したIKEAのような、世の中に背を向けたリバースブランド。なんでもできるはずのロボットの概念を覆した、気まぐれで愛すべきおバカさんなペットとしてAIBOを作り出したソニーのような、既定のカテゴリに捉われないブレークアウェーブランド。液体コカイン、缶入り覚せい剤と呼ばれたレッドブル、古くなったガソリン、神々の美酒と呼ばれるマーマイトのような、消費者に挑戦状を叩きつけるホスタイル・ブランド。企業が消費者のためにどのような販売戦略をとってきたのかが紹介されている。 2018/05/30
ジュール リブレ
9
日本語タイトルが、違うな。。。って感じ。英語タイトルは”Different-escaping the competitive herd.." って感じ。こっちのほうが意味が伝わる、マーケティングの本でした。リバース・ブレークアウェー・ホスタイルなブランドとは。差別化していくと、ますます全体で均質化してしまう競争の難しさを簡単な表現で伝えて、さらに、いかにそ子から抜け出すかのヒントをくれる本、かも。2013/02/06