内容説明
かつて会社は永遠だった。「負け組」「下流」という言葉が跋扈し、会社は平気で人を切り捨てるようになった。この国が目指した先にどんな社会があるのか、今、誰もが気づき始めている。企業戦士として生き抜いた父の人生と自らの体験を通して、働くことの意味と社会のあるべき姿を問いかける渾身のノンフィクション。
目次
第1章 断絶
第2章 追想
第3章 照応
第4章 隠蔽
第5章 遡及
第6章 格差
第7章 派遣
第8章 邂逅
著者等紹介
赤澤竜也[アカザワタツヤ]
1964年生まれ。大阪府出身。慶應義塾大学文学部卒業後、公益社団法人勤務、進学塾講師、信用金庫営業マン、風俗店・高級クラブ経営、トラック運転手などを経て、現在は週刊誌記者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほじゅどー
13
★★★滅私奉公で働く大手銀行の重役を務めていた父親は会議中に倒れて死んだ。銀行の損失補填の責任を背負いながらの脳出血による戦死だった。慶應大の学生時代に女子高生の彼女と子供をもうけて駆け落ちし、業界新聞記者、塾の講師、信用金庫と職を転々とする著者。真面目に会社のためだけを思って働き続けた挙句に憤死する父親のような人生はまっぴら。会社のために滅私奉公する人生など歩みたくないと決意。偽装請負の過酷なトラック運転手へ。資本主義は多くの人を幸せにするシステムではなかったようだ。。2017/04/29
tellme0112
9
昭和のパワハラ男。妻に手を挙げる時点で読む気失う。読むの辛かったが、読メの感想は悪くない…。もう少し信じて読むことにして、信用組合のエピソードまで読んだが、女性蔑視にたえられずに閉じた。私も自営業の会計やってるのだ。感想は人のものを読んで楽しむだけとする。昭和の空気に反吐でそう。p105「愛人は○○人だ」で本を閉じた。たえられない。はあ~。フェミニズムの本が読みたくなる。2020/07/20
としピース
4
本書は、NHKの番組「わたしが子どもだったころ」(2007-2010)と「ファミリーヒストリー」(2008-2017)を合体させたようなノンフィクションで、「典型的に昭和な赤澤家」の来し方がつづられている。 無菌室育ちの子女(そんな人種はもはや存在しないか)はショックで気が遠くなるかもしれないが、勇気を出して就活のためになると思ってぜひ読んでもらいたい。また、今の仕事や職場が嫌で嫌で仕方がないお方にもお勧めする。辞めるにも続けるにも勇気がいるということなのである。2017/05/02
ひとまろ
4
かなり稀有な立場の人が書いた自伝的なルポ。 親子関係や学歴、危険な立場に置かれた仕事など。 食品倉庫での仕事を 「ピラミッドの石を運ぶエジプトの奴隷」 と表現したところなんかは秀逸だ。2016/01/18
mustache
2
一億総中流意識を支えた企業の家族主義的経営システムの崩壊と、露悪的な著者の半生の記述が不思議に絡み合った書。新自由主義的な競争にさらされ続けた日本の企業の労働現場で、働く人々がどれほど苦しめられてモラルハザードを起こしているかを如実に描いている。2017/03/29