内容説明
世界最大の叙事詩が、平易に語り直され、古代インドより甦る。激しく燃え盛る憎悪と流血の地獄から、神の国が示される未来へ。
目次
第七日目
第八日目
第九日目
ビーシュマの死
カルナとビーシュマ
ドローナの指揮
ユディシュティラの生け捕り
第十二日目
勇敢なバガダッタ
アビマンニュ〔ほか〕
著者等紹介
ラージャーゴーパーラーチャリ,チャクラヴァルティ[ラージャーゴーパーラーチャリ,チャクラヴァルティ]
1878~1972。英領インド時代のマドラス州(現タミルナドゥ州)生まれ。政治家、独立運動家、弁護士、作家。インド独立後、最後のインド連邦総督を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しまっち。
5
クルクシェートラの会戦で生き残ったのはパーンドゥ兄弟はじめごくわずか。クル家のドゥルヨーダナはあくまでも自分の非を認めない悪の側であったが、ただ自分の信念を貫き通すという点からすれば、神もあっぱれと花の雨を降らせる。勝ちを得たユディシュティラの心には真の平安は訪れない。様々にでてくる 「多くの精神的葛藤、道徳的矛盾」はいつの世にも当てはめやすく身近に感じられる。省かれたエピソードも気になるが、全部読もうと思ったら大変そうだな~。とりあえず大筋はよく理解できて読みやすかった。2017/11/09
卯ノ花
1
クルクシェートラの戦いの幕が降り、その後の話の巻。ドゥルヨーダナの自分の信念を貫き通そうとする姿勢には、神々も花の雨を降らせる。そして多くの親戚、友、異父兄(カルナ)を失い、ユディシュティラの平穏は訪れない。しかし、最後に天国へ登り憎悪などから解放されて、先立った兄弟と妻との再会を果たす。上中下巻で細かな場所を省き、簡単に綴ったこのマハーバーラタは、とても良作だったと思う。この流れを頭に入れ、次は原典訳を読もうと思う。2018/02/07
Yoshi
0
戦争も終わり、その後の顛末の落としどころがこれまたインド哲学的で面白い。 肉の塊から生まれ、欲にまみれたドゥルヨーダナと王として生まれ正道をいくユディシュティラ、その対極の二人が神に変身した様などは読んでいて陰と陽のようなものを感じる。 人の欲望も誉れ高き法も恨みなどの人間のどす黒い欲望もすべて神の世界においては浄化され無と化し一つのなにかに変貌していく。 ユディシュティラ以下パーンドゥ兄弟が主人公に見えるが、俗物な人間そのものを体現するドゥルヨーダナが真の主人公なのだろう。2023/04/03