内容説明
ナチスの収容所で描かれた子どもたちの絵を日本に紹介し、30年にわたって活動してきたノンフィクション作家、渾身の一書!
目次
第1章 ディタとの出会い 彼女と歩いたテレジン
第2章 絵を描いた人たち
第3章 犠牲者の名前
第4章 テレジンの子どもたちの遺言
第5章 もう一人の画家イェフダ・バコン
第6章 地図上から消えた村リディツェ
第7章 ナチス高官の子孫たち
終章 そして、今…
著者等紹介
野村路子[ノムラミチコ]
1937年、東京都生まれ。都立白謳高校を経て早稲田大学文学部仏文科卒業。コピーライター、タウン誌編集長を経て、ルポルタージュ、エッセーなどを執筆。89年、テレジンの子どもたちの絵と出会い、91年から「テレジン収容所の幼い画家たち展」を主催。生き残った“テレジンの子どもたち”へのインタビューを重ね、執筆・講演活動を続けている。「テレジンを語りつぐ会」代表。『テレジンの小さな画家たち』で産経児童出版文化賞大賞受賞。日本文藝家協会会員。埼玉文芸家集団役員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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つちのこ
22
毎年のように出版されるナチス、ホロコースト関連の本は星の数ほどあり、その犯罪の広域性を象徴するかのように、茫洋たる海原に放り出されたごとく、どれだけ読んでも断片をつまんでいるにすぎない。本書はアウシュヴィッツの中継点となった、子供たちを収容したテレジン収容所の生還者を追ったルポ。著者は子供たちが描いた絵を日本国内で展示する活動を行っているが、コロナ禍にあって活動の中断に追い込まれていることの焦りを述べている。後半ではナチス高官たちの末裔の苦悩やアーリア人製造工場【レーベンスボルン】についても触れている。2021/10/18
Nobuko Hashimoto
19
著者はナチ・ドイツ占領下のチェコのテレジン収容所で子どもたちが描いた絵を日本に紹介しつづけているノンフィクション作家。すでに関連本は何冊も出されているが、本書は30年に渡る元被収容者らとの交流を振り返るもの。もうじゅうぶんやってきた、いやまだまだ伝え続けねばならないという切迫した思いが伝わる。2024/01/05
breguet4194q
13
体験者以上に説得力のある言動は、存在しない事を実感しました。生き残った人にしてみれば、思い出したくもない、ひた隠ししたい経験のはず。それでも後世の為に語ってくれる生還者の勇気と義務感は、称賛に値すると思います。これからを生きる者が、過去の過ちを犯さない事こそ、最大の供養になると思います。2021/07/26
林芳
2
著者の長きに渡る活動に頭が下がる思いです。「知る勇気 伝える努力」。この言葉、私も使わせてもらいたいと思います。2022/05/27