内容説明
松本サリン事件から14年―。妻への思い、家族の絆、友への感謝、命の重み…試練を通して見えてきた人生の風景。いま、著者が綴る自伝的エッセイ。
目次
1 オウムとサリン
2 犯罪被害者として
3 家族の絆
4 わが家の子育て
5 友情に包まれて
6 長野県公安委員会
7 冤罪防止への第一歩
8 マスコミ報道への苦言
9 スイカ畑と空気銃
10 渓流釣りの愉しみ
著者等紹介
河野義行[コウノヨシユキ]
1950年、愛知県豊橋市に生まれる。名城大学理工学部卒業。1994年6月27日に起きた松本サリン事件の被害者でありながら、警察・マスメディアから犯人扱いされ、深刻な人権侵害を被る。翌年、地下鉄サリン事件が起き、オウム真理教の事件関与が明らかになり無実が証明された。2002年、長野県公安委員会委員に就任、1期務める。現在、NPO法人リカバリー・サポート・センター理事として犯罪被害者支援や、講演会活動などを積極的に行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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コージー
29
★★★☆☆松本サリン事件の被害者でありながら、犯人扱いされた河野さんのエッセイ。あるがままを受け入れる河野さんだからこそ、あれだけの人権侵害を乗り越えられたのだと思う。ものごとを深刻にとらえて抜け出せなっている人に、勇気を配ってくれる本だと思います。【印象的な言葉】①人は自分の知識の範囲内でもがき、納得できる回答が得られずに孤独に陥ってしまう。②百人いれば、一回はだれかが犯罪被害に遭うという計算になる。③死はいつもすぐ隣にある。そう思い定めて生きていると、なにが起こっても不思議ではないという気持ちになる。2019/06/16
eirianda
8
先に読んだ『今生きる幸せ』より前に書かれたもの。サリン事件やその後の流れはほぼ同じ。この時は公安委員会の任期終了から間がないのか、田中康夫元知事の批判が多い。政治家でもマスコミに出たがる人って自己愛過剰な人が多いのかと、現都知事とか頭に浮かべながら読んだ。怨み節は人生の無駄だと、あんな酷い目にあった人(河野さん)に言われれば、そうだなあと色々反省するダメなわたし。2016/05/12
壱萬参仟縁
6
麻原死刑が決まったのは2006年だがまだ執行されていない(18頁)。麻原は一度だけでなく、何度も罪の償いに死刑を処せられる人だと思う。無差別に強行に及ぶのはイノセントの人を巻き込んでしまう。裁判では因果関係をいうが、状況証拠も危ういと思える(25頁)。この間、妻が亡くなってしまったと知った。被害への声を発することなく、逝ってしまったのは悔しいと推察する。ご冥福をお祈りしたい。警察が自らの非を認めたがらない組織である(121頁)。確かに。スピード違反のクルマを追跡していてイノセントな人を巻き込んでも妥当か?2013/03/21
アーク
1
オウムによって幸せな家庭を蹂躙され、かつマスコミの誤報道によって追い打ちをかけられた筆者、そのスタンスが非常に楽観的なのはなぜだろう。過剰に被害者意識を振りかざすことなく、人間のよい面を見つめようとする姿勢は尊いと思う。残念ながら奥さんは亡くなってしまったけれど、この人なら人生を最後まで楽しく全うするだろうな、と思う。2015/10/29
小音
1
サリン事件、冤罪、マスメデア等について とても勉強になる内容が書かれていました。いつ犯罪の被害者になるか分からない今の社会状況を考えるに この本は一度は読んでおくと参考になるのではと思いました。がしかし、何と言っても河野さんのお人柄と生き方に感銘を覚えました。2009/07/03