内容説明
本書は、ユングが多年にわたる経験から得た所見をできるだけ平易に、なんの予備知識も持たない読者に解き明かそうと努めたものであって、ペルソナ、アニマ、アニムス、自己といったユング心理学の基礎概念について、これほど丹念な説明を加えた自著は他にほとんどないといってよい。
目次
第1部 意識に対する無意識の作用
第2部 個性化
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
33 kouch
34
個人を超えた集合的無意識が現れたときに、意識がどのように反応するのか?無意識に同一化して自我肥大を起こすか、社会での仮面であるペルソナに逃げるか…うーん。自分の場合は一旦はペルソナに逃げるか。青い炎として肥大化した無意識を心に閉じ込める。小市民的だが自分みたいな人も多いんじゃないかな。ユングにカウンセリングしてもらいたい2025/10/26
Aya
27
フロイト、アドラーにも触れられていて、心理学入門書としていい本だと思う。「意識」と「無意識」その中でも個人的・集合的という無意識のなかで分かれているのがユングの理論。自己と自我、主体と客体などやや哲学的になるが言葉を整理していくと初心者にも理解出来る内容でした。無意識の中の区分こそ最も難しい技術であり、他者を予感し尊敬することが大切と纏められている。本書に登場する心理状態をより深く知りたい人向けに幾つかの本も紹介されていて、本格的な哲学書の前に読むのをお勧めします。2015/12/20
Uncle.Tom
22
東洋思想と極めて親和性が高いと言われるユング心理学。無意識という普段意識に上らない領域であるが上に、なかなか理解するのが難しい部分も多いですね。自分の勉強不足感を感じます。意識と無意識はそれぞれ日常的に相互補完するかたちで成り立っているようですね。自分自身の行動に関しては自らの意思で制御してるという感覚は大半の人が抱いてると思います。しかし、なかなか把握しづらい無意識の影響を少なからず受けて日常の行動が決定している。ユングの集合的無意識という概念はなかなか掘り下げがいのあるものだと感じます。2019/10/06
roughfractus02
15
心は意識と無意識が統合された自己(Selbst)であり、両者は「補償」関係にある。また、無意識は個人的/集合的の2種があり、集合的無意識もペルソナ(社会的役割)と元型(普遍的タイプ)がある。意識が自我(Ich)に無意識を固定すると無意識は「補償」を作動する。が、過度の補償は自我肥大(ノイローゼ、誇大妄想)を起こすと著者は言う。本書は、男性/女性のペルソナに固執する自我へのアニマ/アニムスの元型の「補償」が、神話的妄想を起こすマナ人格(預言者等)を作ることを臨床的に語り、自己を均衡化する個性化の療法を示す。2021/05/13
luadagua
14
ユングの著作は初読み。自我と無意識、無意識には個人的無意識と集合的無意識があること。私たちが外的に向け身につける仮面「ペルソナ」、そして無意識に存在する異性像アニマとアニムスの存在のこと。最後にトラップである自我肥大を乗り越えて個性化・自己実現を目指すことの大切さについて、理路整然とユングは語る。途中で自身の体験やユングの分析によって患者さんが気づきを得ていく流れにライブ感があって、ユングの存在がよりリアルに感じられた。…でもやっぱり難しく、河合隼雄先生あたりの著作を読んでからまた読みなおしたいかも。2025/09/20




