出版社内容情報
語学文庫
「クリトーン」に現れた峻厳な遵法精神と明徹な論理は、若い人々の思索活動に尊い教訓を与えるだろう。古典ギリシャ語の美しさ、とくにプラトンの散文の美しさを十分に味わえよう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kasagumo
2
ギリシャ語が気になるこの頃。勉強も兼ねて本書を手に取ってみた。まずは和訳部分のみ読了。獄中で死刑を待つのみとなったソークラテスと、脱獄を勧める友人クリトーンの会話のみによって構成された話。短い話ではあるけれど、読み応えは十分。二人の間に交わされる理性的な言葉の応酬が、長く付き添った友への願いとそれを否定しなければならない遵法精神の気高さと、どちらも鮮やかに描いている。ちなみに訳者の方は、岩波版の訳者の方と同じ先生に師事していたらしく、まえがきに同じ名前が出てきてこの世界の不思議な繋がりを感じた。 2017/10/16