内容説明
能を知る能を演じるふたりの対談集。
目次
能楽堂という不思議な空間
橋掛りを来る人々(修羅道から来た男;この現実を生きる;女を生きた女たち;月下に輝く情念;憂き世と浮き世;唐物という華;鬼は滅びたか;水と大地を寿ぐ祖神)
能楽用語と装束の着方の基本
著者等紹介
友枝真也[トモエダシンヤ]
1969年生まれ、東京都出身。上智大学法学部卒業。能楽シテ方喜多流職分、能楽協会会員、重要無形文化財保持者(総合指定)。祖父は喜多流職分故友枝喜久夫。三歳のときに仕舞「月宮殿」にて初舞台を踏む。喜多流十五世宗家喜多実に入門。喜多流宗家内弟子を経て現在、伯父の友枝昭世に師事。「洩花之能」主宰
馬場あき子[ババアキコ]
1928年生まれ、東京都出身。歌人、文芸評論家。日本女子専門学校(現・昭和女子大学)国文科卒業後、歌誌「まひる野」に入会し、窪田章一郎に師事。1972年、夫・岩田正とともに短歌結社誌「かりん」を創刊。朝日新聞ほか地方紙の歌壇選者を務める。日本芸術院会員、文化功労者。1947年に喜多流十五世宗家喜多実に入門。新作能を手掛け、能楽の評論活動も行う。歌集のほか、和歌・能楽・民俗学・古典関係の著作多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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umeko
14
謡、言葉のハードルを越えたときに、お能の魅力が一気に広がる。その一文に心を動かされた。あらすじを知って、満足している場合ではないのだと気づいた。2022/02/05
てくてく
5
青年期より喜多流の能に親しんできた馬場氏と、喜多流能楽師である友枝氏による、能に関する対談集。謡曲の文言(引用歌)に詳しい馬場氏、演じ手としての曲の見せ場や工夫について語る友枝氏のやりとりが楽しかった。修羅物におけるそれぞれの曲の違い、般若か顰のいずれの面を用いるのか、酒呑童子の鬼としての位の高さ、砧の妄執の不可解さなど、謡曲の魅力を再確認することができた点、馬場氏の好みがわかる点などが面白かった。2021/04/24
不純文學交遊録
4
現在、NHKカルチャーラジオで『能楽鑑賞入門』を放送中なので読んでみた。タイトルに『もう一度…』とあるから、全くの初心者向けではないのだろうが、ラジオを聴いて予備知識があれば理解できる内容。能は、源平合戦や王朝文学に題材を採った演目が多い。古典や民俗に造詣が深い馬場あき子さんが、作品の背景にある時代精神を説く。シテ方喜多流・友枝真也さんの話からは、能には年齢を重ねないと演じられない役が少なくないことを知る。やはり能は難しい。2021/09/20
Funky-TakaOyaji
1
今更ながら、能は謡が聴こえていないと情景が理解できないことがままある。特にシテが座ったまま動かない場面では尚更のこと。所々のキーワードを聞き取れるだけでも面白味は増す。楽しむ為には最低限の予習が大事という事だ。観て評論する専門の馬場あき子と演じる側のシテ方友枝真也の詞章や舞の形などへの視点の違いは興味深い話もあって面白かった。2021/05/21
Go Extreme
1
能楽堂という不思議な空間 橋掛りを来る人々:修羅道から来た男 美しき敗北者 勝者も堕ちる修羅道 死処を見つけた老将 この現実を生きる 源平の争乱 殺生をした手の記憶 女を生きた女たち 序の舞を舞う女 物狂う母 なぜ地獄へ堕ちるのか 鬼になった女 月下に輝く情念 憂き世と浮き世 唐物という華 鬼は滅びたか 水と大地を寿ぐ祖神 能楽用語と装束の着方の基本2021/04/22