内容説明
ノグチが参加した様々なプロジェクトを、当時のアメリカ社会が抱えた諸問題の中に置き直し、作家の思い、企画者の意図、政治・経済・社会的な文脈から立体的に考察。戦争・資本主義・貧困・人種・都市環境など、問題が続出する危機の時代に、「空間」をどう理解し、どうデザインするか。知られざるノグチの試みが、アクチュアルによみがえる。
目次
第1章 広がる世界、閉じる社会―大恐慌下のアメリカ(新しい空間性による社会改革;公共彫刻実現の方法を模索して;閉塞していく社会の中で)
第2章 空からの破壊、地中からの再生―第二次世界大戦と復興(戦場のめまい;戦後社会と彫刻家の使命;過去・自然・人が交わる空間のデザイン)
第3章 ヘゲモニーとヘテロトピア―冷戦時代の理想郷(アメリカの中の「他所」としての日本庭園;資本主義のヘテロトピア―つながりと遮断;プラザ―企業と公共空間)
第4章 中心の再創造―アメリカ都市の危機に挑む(現代彫刻と都市再生;水と大地の彫刻;共同体の新しい心臓)
著者等紹介
松木裕美[マツギヒロミ]
国際日本文化研究センター助教。パリ第8大学で芸術学の博士号を修める。専門分野は20世紀アメリカ彫刻史。近・現代彫刻の空間表現と、建築、ランドスケープ、庭園、都市空間デザインの関係を研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takao
1
ふむ2021/08/22
今を生きる
0
2021の個展に行った時にはまだ抽象彫刻の表現の可能性についてピンと来ていなかった(それでもAKARIの軽みとかは新しかったが)。 都市論とか建築論を軽く学び意義が分かった気がする。展覧会ではステンレス板がモダンな感じがして良く撮っていたけど公共空間にあると考えるとむっちりしたものの存在感は良い。 しかし日米両方で血によって評価されないことが多いのに献身的に社会のために考え表現し続けているのは無私の境地を見る思い。 2022/07/26
kaz
0
作品の図版を中心に飛ばし読み。類書と比べると、イサム・ノグチの作品が大きく骨太に見えた。「アメリカ社会が抱えた諸問題の中に置き直し」という観点から見ると、同じアーティストのものでも取り上げられるもの、あるいは取り上げられ方が異なってくるからであろう。図書館の内容紹介は『世界を股にかけて活躍した、20世紀アメリカの彫刻家イサム・ノグチ。彼が参加した様々なプロジェクトを当時のアメリカ社会が抱えた諸問題の中に置き直し、作家の思い、企画者の意図、政治・経済・社会的な文脈から考察する』。 2021/12/24