内容説明
雅な恋の歌だけじゃない、日常の本音がぽろっとこぼれたそんな和歌がありました。ちょっとしたメッセージも、日記も、仕事の愚痴もぜんぶ和歌!
目次
第1章 贈り合う歌(恋のやり取りに欠かせない贈答歌;結婚前後の歌のやり取り;和歌と手紙;旅立ちと餞けの歌)
第2章 人生の節目の歌(失意と喜びの歌;追悼の歌、お祝いの歌;生活の端々で詠まれた歌)
第3章 みんなで詠む歌(歌会の実際;歌合の歌;定数歌というフォーマット)
第4章 私的な歌・社会の中の歌(家集を読む楽しみ;戦乱と和歌・連歌;御伽草子から民話まで;和歌と人々の暮らし)
著者等紹介
浅田徹[アサダトオル]
1962年、山口県生まれ。お茶の水女子大学教授。早稲田大学第一文学部卒業、同大学院博士課程満期退学。国文学研究資料館助教授を経て、2011年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シャコタンブルー
27
百人一首は時たま読み返すが、いつも遥かなる悠久の時代の一時を共有する至福を感じる。和歌は恋だけでなく、出世、仕事、愚痴、妬み等イロイロあり、歌によりそれを表現してきた先人の叡智に感嘆する。特に面白かったのは戦国時代の和歌で「寝るが内に心休めず蚊の鳴くを敵の寄せ来る鬨の声かと」「野附して敵に向かえる膝頭振るを冬に負ほせてしがな」 勇猛果敢なイメージの武士も蚊の鳴く音にビビる、何とも人間らしくて愉快になる。戦乱の時代の極限状況でも和歌を詠み、残す、その信念は素晴らしきかな 2019/10/09
S.Mori
17
和歌の文学的な要素だけではなく、社会的生活的な要素も詳しく解説しており、面白い本でした。芸術のために歌を詠むだけではなく、日常のコミュニケーションを円滑にするために昔の日本では和歌が作られました。例えば、遠くへ行く人のための餞の歌があります。悲しんでいる人を慰めるための歌も作られています。この本に載っている平定文が伊勢に送った「思ふより言ふはおろかになりぬれば喩へて言はむ言の葉ぞなき」は味わい深いです。子供を亡くして悲しんでいるあなたに、どんな言葉もかけられない、という真摯な同情の気持ちが伝わります。2020/01/11
Tadashi_N
16
三十一文字に込められた文化、教訓、ラブレター。2023/04/14
寿児郎
5
元予備校講師・葛西佑也氏のnoteを拝読して購入。 古代の和歌(恋・仕事・慶弔・人付き合いなど)から、中世の武士が詠んだ和歌、商家の家訓や死刑囚の短歌、漂流した冒険家の俳句まで、「和歌」とは呼べなさそうなものまで幅広く取り上げながら、この短い定型詩の力を魅力的に紹介している。 「詩集や歌集は(略)心に残る作が一つか二つあれば、それでいい」(p.189)という言葉がとても素敵だった。 本書を読み、もっと五音と七音の定型を大切にしようと思った。2021/03/29
396ay
3
めちゃくちゃ分かりやすい、一般の人向けに書かれた和歌の入門書。めちゃめちゃにわかりやすい。2020/04/05