出版社内容情報
応仁の乱の元凶? 稀代の悪女? 絶大な経済力を背景に、翳りゆく将軍家を操る日野富子を中心に描かれた時代短編小説集。〈都でうごめく魑魅魍魎を描いた傑作短編集〉
時は室町時代末期、8代将軍足利義政の妻・日野富子を中心に描かれた時代短編小説集。『なごみ』での連載(「優曇華の花」「美しかりし粧いの、今は」「天魔の所業、もっての外なり」「青磁茶碗 玉梅」「将軍、帰陣す」「長い旅路の果てに」)に「天狗の如く」(書き下ろし)を加えて単行本化。妻に翻弄される男・足利義政、天魔の降臨を嗤う男・山名宗全、母の呪縛から逃れようとする男・足利義尚、天狗になろうとした男・細川政元……。ろくでもない男たちの運命が、一人の女によって狂い始める。
岩井三四二[イワイミヨジ]
著・文・その他
内容説明
応仁の乱を経て、世は戦国動乱の時代へと転がり落ちていく―妻に翻弄される男・足利義政、天魔の降臨を嗤う男・山名宗全、母の呪縛にもがく男・足利義尚、天狗になろうとした男・細川政元…。ろくでもない男たちの運命が狂い始める。絶大な経済力を背景に翳りゆく将軍家を操る日野富子。都でうごめく魑魅魍魎を描いた傑作短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
59
日野富子中心の短編集かな。勘定小町と言えそうな実務に強い富子像なのでサラッとした作品集になっている。今参局と思われるもののけが気になる富子や、天狗になる修行をして飛べるかどうかを確かめるために縁先から飛んでみる細川政元やら登場人物がなんとなくすっとぼけているのが楽しい。2021/03/04
誰かのプリン
21
七編から構成されている短編集。日野富子がそれほど悪く書かれていないのは以外。題名の如く、それぞれは章に亡霊が出てきますが、恐くなく面白く読了しました。2017/12/04
棕櫚木庵
19
図書館で見かけ,『三成の不思議なる条々』が面白かったので借りた.期待通り面白かった.日野富子を軸に,様々な人を主人公に据えた7編から成る.年老を自覚した音阿弥は,「世阿弥どの,もう恨みたもうな.わしもそろそろそちらへ参りまする」とつぶやく(p.63).富子も,また,もののけになって祟った者に対し,「すべてはもう終わっていて,やり直すことなどできない」生涯最後に至って,「いっしょに長い旅をしてきたのだと思い,親しさともなつかしさともつかぬ感慨を抱」く(p.210).乱世を懸命に生きた者の感慨だろうか. 2017/12/05
as
16
日本の西大后、日野富子(年代的にはこちらが先)を中心に応仁の乱の前後を描いた本作ですが、昨今のブームのおかげで誰?という人は少なかったです。義政、義尚、義視、義材、義高の違いもバッチリです。(いままいりのつぼねってスゴイ名前)2017/12/18
サケ太
16
時は室町時代。三人目の子どもを懐妊した日野富子は己の欲に取り憑かれ。妻を信じられない足利義政。音阿弥は不安定な時代のなかで先行きを案じる。戦を終わらせたいと奔走する山名宗全。青磁茶碗玉梅に翻弄される弥次郎。母から解き放たれ思うがままに生きたい足利義尚。天狗になるための修行に夢中な細川政元。日野富子の長い道のりと後悔。混沌とした時代を多くの人々が惑いながらも生きていた。そして、人々の死とともに時代は戦国へと移り変わる。室町時代を描いた連作短編。一つ一つはあっさりめではあるものの興味深い作品。2017/10/12
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