出版社内容情報
茶法・茶室・茶道具の流行と変遷が如実にわかる利休と同時代の茶書に、茶道具を知り尽くした著者が大胆な訳で挑む期待の一冊。『山上宗二記』は利休の高弟で、豊臣秀吉とも近親した茶人山上宗二自身が記した、もっとも信憑性の高い茶書とされています。利休の登場で茶道具の価値観が大きく変化する状況下、名物茶道具のはやりすたりや、所持者の変遷がわかるという点でも貴重な一冊です。その『山上宗二記』に、茶道具を知り尽くした著者が、大胆な訳で切り込みます。
竹内順一[タケウチジュンイチ]
著・文・その他
内容説明
『山上宗二記』とは利休の弟子山上宗二が書いた、利休時代の名物道具212点の所在リストである。そのすべてに宗二は「目聞(道具選択)」の根拠を記して伝授した。自らの書き物を残さなかった利休の道具観を体現する書として書き継がれ、写本の数六十種弱にのぼる茶の古典である。
目次
山上宗二記とは何か?
山上宗二記 現代語訳(茶の湯の起源;大壺の次第;石;天目台;天目の事;茶碗の事;茶杓;硯;名物の釜の数;名物の水指 ほか)
山上宗二記について
著者等紹介
竹内順一[タケウチジュンイチ]
1941年、神奈川県生まれ。東京藝術大学美術学部芸術学科卒業。専門は日本工芸史、茶道美術史。五島美術館学芸部長、東京藝術大学教授、茨城県陶芸美術館長、松本市美術館長、永青文庫館長を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
173
名物の選定と評を中心にして、茶の湯の起源、作法や心得についても述べている。評の部分は、形、見所、所有者、値、来歴、逸話などを紹介する。美しさと実用性に加えて、道具の価値を茶の湯という体系の中に置いて評価する所に室町文化の流れがある。一方、大名の道具と数寄者の道具で基準を分ける所や、瀟湘八景図の風流好みを当世風でないといって評価しない所などは、利休と宗二の〝侘び〟志向だろうか。散見される「別途口伝にて」は、その先を知りたければ教授料を頂くという意味らしい。秘伝の難しさはなく、初心者にもわかる実用の書だった。2024/07/20
うしうし
5
『山上宗二記』については、岩波文庫(熊倉功夫校注)を購入していたが、文語体のため、難解であった。本書は竹内順一氏による現代語訳で、私にも文意がよく分かり、大変有り難かった。本文中に本能寺の変で滅失した道具が取り上げられている(p211)という指摘や『宗二記』の分類(Ⅰ型・Ⅱ型、p217)、記載されている道具の所在情報が「天正十四年の終わり頃」以降は更新されていない(p232)ことなど、解説も大変興味深い。また、現存38点の現所有者リスト(p234~235)が掲げられていることも注目される。2018/07/16
はれ
3
織田信長から豊臣秀吉くらいの時代の小説にしばしば登場する茶の湯関連の道具や人物がわかりやすい言葉で記されています。そもそも、山上宗二という人も、その時代の登場人物ですが、こういうものを残したのは、茶の湯への愛着?栄誉?お金?自分の足跡?少なくとも公務ではない。この人のエネルギーのおかげで、当時のことを想像する手がかりをいただけます。2018/08/06
知降 星人
2
すべての事象が師匠になると覚悟すること。2018/04/05
ranran
1
ちょっとあまりにもいろいろありすぎて何が重要か分からなかった2023/03/24
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