内容説明
本能寺に炎と化した名物「九十九茄子」茶入が、勿然と博多に姿を現わした。消えたはずの茶器が何故?兄信長と運命を共にした幻の茶器の行方を追い、戦国の世を奔走する有楽に、再び耳を疑う報せが届いた。織部が茶会に「勢高」茶入を使ったという。本能寺の名品が二つも出現した驚きに有楽は戸惑う。名器は己の持つ力ゆえに人を狂わせ、また自らも流転する。モノに憑かれた僧侶、商人、そして武将。三様の人間像が名物茶器を巡って交錯する。
著者等紹介
斎藤史子[サイトウフミコ]
東北大学文学部フランス文学科卒業。『落日』にて第七回大阪女性文芸賞受賞。日本ペンクラブ会員。NHK大阪文化センター講師。元高野山大学講師
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