出版社内容情報
モネから奈良美智まで美術評論家が標的としてきたテーマを反復し、現代美術を解く。現代ドイツ音楽・美術の横断的評論で注目を集める著者のアート論集。
内容説明
タイトルに『ファウスト』の名文句を引用しつつ、しかし「永遠に女性的なるもの」とはオバサンのことであると切り出す本書は、現代ドイツ音楽・美術の横断的評論で注目を集める著者の、待望のアート論集。モネから奈良美智まで、「カタログ文化」と化してしまった現代美術を「オバサンの神通力」を借りて救済する。
目次
永遠に女性的なる現代美術
透明な水面―モネの睡蓮について
お馬鹿あるいはB―ポップアートの戦略
LEATHERあるいは幻肢痛としての身体―メイプルソープの二つの自画像
色彩の魔術―ニコラ・ド・スタールとマーク・ロスコ
線の音楽―パウル・クレーと色彩
「可愛い」という政治―奈良美智の子供たち
引き算の芸術―竹岡雄二の空間
凝縮の倫理―ドナルド・ジャッドの箱
反陶芸―高野基夫の陶芸
アトラス―ゲルハルト・リヒターという装置
芸術と「私性」―荒木経惟、マニエリスト
I WAR,TILLMANS―「戦争」:としての「私」
さよならPC、さよならイノセント―スーパーフラット現象について
著者等紹介
清水穣[シミズミノル]
1963年生まれ。東京大学大学院博士課程中退。現在、同志社大学言語文化教育研究センター助教授。専攻は20世紀ドイツを中心とした現代音楽と現代美術
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感想・レビュー
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Atsumi_SAKURADA
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「カルチャーおばさん」は「お教養」を纏うべく“わかりやすい”印象派展に集い、いわゆるサブカル奴はセンスの良さを漂わせるべく“わかりにくい”現代アート(おアート?)をSNS上に並べる。嗜好のスタイルを着飾るための道具にされる、永遠に女性的なる美術を日常で話題にするためには、「そんなに詳しいわけじゃないんだけど」という接頭句が判で押される。ああ、どうして(日本では?)「アート」に触れることがこんなにも不自由なのか…!――という内容の本ではございませんが、そんなことを考えてしまいませんか?2016/03/08
poiuy
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冒頭の現代美術とおばさんの論考が興味深かった。2015/06/06
maki
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辛口のエッセイで論点が面白いなあと思った。ただし短いエッセイだからか説明は詳細ではなく、事前の知識が必要な部分も多々ある。2009/12/15