内容説明
家族と言語が、人間を人間以外から区別する。言語は知性の道具となり、家族は秩序の感覚をつくる。家族がこわれることは、重大な重荷を人間に背負わせる。しかし、正しい家族の姿がどういうものかは、たやすくさぐりあてることはできない。もともと、人間としてあらわれてからさまざまの家族の形をとおってきたのだから、わずか百年あまり日本で正しいといわれてきた形だけが正しくて、それから離れる形は正しくないということは、これから先はとおらない。すでに、敗戦後に平均寿命がのびたという事実は、三世代同居の家族が正しく、母子家庭を不健全とするような考え方をゆるがしている。さまざまの家族があり得ることを、本書ではさぐっている。明治国家以前からある家族の習慣を、写真という形でとらえようと試みた。
目次
ある帰国
物としての家
無意識の部分
折り目
ひっこし
家の神にそむいて
家出
欠損家庭
死場所
ささやかな理想〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yumiha
36
          
            『ここに物語が』(梨木香歩)で紹介されていた本書。石川県の実家には神棚があるけれど、関西のうっとこも友人宅でもとんとお目にかからない神棚。神様はイマドキ神社にしかおられないようだ。なんせ墓じまいやら仏壇じまいやら、仏様も居場所なくしてるし。と思いながら読み進めると、昭和臭たっぷりの写真が次々とあった。そして語られるのも昭和の家族の様子やその問題点。確かめると本書は1972年出版を再編集したもの。半世紀たてば、価値観は大きく変わるちゅうことを再認識。2025/08/26
          
        ROOM 237
12
          
            たった3文字で民俗学好きを惹きつけるタイトルにフィールソーグッド。ただし著者の云う神はそっちの神仏方面や建物ではなく、家の中を守る象徴って話。父ちゃん労働母ちゃん家を切り盛り、スクスク子育て自立し行き着く先は家族安泰とは限らない。その暗部がいくつか紹介されており、小さな社会の縮図である家族との関係を上手く築けるかは代々その家の習慣がデカいのかも。野良火葬などゾクゾクする写真多数で地方慣習も興味深いが、一番ツボったのは隠居の項目。「国府地方の独特な隠居制」って…掘り下げたい(✧Д✧)カッ!2023/11/05
          
        necoko19
0
          
            ★★★2010/12/11
          
        

              

