内容説明
『女の能の物語』は、21編からなる。ここに採り上げなかったものの中にも、女を主人公とし、女の情の領域を描いて、胸打たれる名曲はいくつもある。しかし物語の内容がなるべく重ならないことと、代表的な女面をとりあげること。また当初、京都を中心に考えていたので、このような選曲になった。
目次
班女
三井寺
鉄輪
葵上
野宮
定家
東北
百万
熊野
大原御幸
浮舟
卒都娑小町
砧
殺生石
井筒
道成寺
山姥
松風
江口
羽衣
半蔀
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
pippi
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能面、なかでも女面を軸に能を語る二十一編。無表情の比喩として用いられる「能面」、果たしてそれは正鵠を得た語なのか。各章扉の写真が、そう問うているようだ。仏像写真と同じく、光の妙を得て一面が多面の変化をみせる。演者が面を掛け、役柄の人格を得、面は舞台に生きる、と語る著者。その言、真なり。能舞台を一観すれば、かの言葉が虚なることを体感するに違いない。「大原御幸(おはらごこう)」の「節木増」。建礼門院の諦観か、雅で品薫りながら哀感を目に宿す美しき面だ。2012/07/31
のほほんなかえるさん
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情念・執念・怨念。能の「舞い」は「狂乱」であると著者は見る。『鬼の研究』と併読するつもりで購入した本だったが、少し遅れてようやく読了。2011/06/30