内容説明
本書には社会学者、経済史家、人類学者と並んで、芸術家、映画論、フェミニズムなど、世界システム論やグローバル化を論じる際に通常あまり見かけない研究者たちが並んでいる。ここに本書のユニークな点がある。つまり、本書は、芸術史などの人文科学的領域に属する学問の側から行われた、社会科学的領域の学問との真摯な対話の試みなのである。もとより、これは単に異種領域間同士の学際的な対話という意味でユニークなだけではなく、今日私たちが否応なく巻き込まれているグローバル化という状況を、経済的問題という狭い領域から論じるのではなく、これまであまり議論されてこなかったさまざまな文化的次元からも論じようとしたという点で独自な意味をもっている。
目次
序論 文化の空間、知識の空間
第1章 ローカルなものとグローバルなもの―グローバル化とエスニシティ
第2章 新旧のアイデンティティ、新旧のエスニシティ
3章 社会理論、文化相対主義およびグローバル性の問題
4章 国家的なものと普遍的なもの―世界文化というようなものがありうるか
5章 周辺文化のためのシナリオ
6章 グローバル理論を問う
7章 グローバルなものと特殊なもの―相反する文化理論の調停