内容説明
現在、われわれの住む経済社会は大きな変革のうねりのただなかにある。世紀の変わり目を迎える90年代、日本ではバブル崩壊後の景気の低迷から抜け出すことができず「空白の10年」を終えようとしつつあり、対照的にアメリカでは景気変動を過去のものとする「ニュー・エコノミー」が出現したともいわれている。このような歴史的な移行期をもたらした要因は何であろうか。本書では情報・通信技術の革新を最大のものと考え、これまでとはやや異なった視角から、この技術が経済社会に及ぼしている影響について考察する。また、変革の画期として、コンピュータ・ネットワークの普及に注目する。そして、新たな技術革新に起因するこの現象を、第一義的に経済活動の空間的な振る舞いを変えるものとして把握する。
目次
第1章 情報社会の分析視角(情報産業の成長;情報技術の評価;文明論としての情報社会論)
第2章 経済空間構造の変化についての枠組(地域構造と産業配置;地域構造の変化と技術革新;地域構造の変容に基づく発展段階についての仮説)
第3章 空間的情報流の経済学(空間克服について;空間的情報流;空間的情報流と市場・企業組織;コンピュータ・ネットワークと新たな発展段階)
第4章 コンピュータ・ネットワークが引き起こす社会変革(第2の空間;空間的情報流と都市集積;産業空洞化と空間的情報流)
著者等紹介
田村大樹[タムラダイジュ]
1966年東京都に生まれる。’96年九州大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。現在、北九州大学経済学部助教授。博士(経済学)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。